固定式等速ジョイント:駆動の要
車は、エンジンが生み出す動力をタイヤに伝えて走ります。その動力を伝える重要な部品の一つに、ドライブシャフトと呼ばれる棒状の部品があります。ドライブシャフトは、エンジンの回転をタイヤに伝える役割を担っていますが、路面の凹凸や旋回によって、その長さが変化したり、角度が変わったりします。そこで、滑らかに動力を伝え続けるために等速ジョイントが必要となります。
等速ジョイントにはいくつか種類がありますが、その中で「固定式等速ジョイント」は、ドライブシャフトの長さが変化しない箇所に用いられるタイプです。つまり、回転軸の角度は変化しても、軸の長さ自体は変わらない場所に使用されます。この固定式等速ジョイントは、主に前輪駆動車のタイヤ側に取り付けられています。
前輪は、ハンドル操作によって左右に大きく角度が変わります。この時、タイヤと車体をつなぐドライブシャフトにも大きな角度変化が生じます。しかし、固定式等速ジョイントはこの大きな角度変化にも対応し、エンジンの回転を滑らかにタイヤに伝えることができます。具体的には、30度から45度程度の角度変化に対応できるものが一般的です。
固定式等速ジョイントには、いくつかの種類があります。例えば、二つの自在継手を組み合わせた「二重自在継手型」、球状の部品を用いて滑らかな動きを実現する「球状型」、三つのローラを持つ「固定式三脚型」などが挙げられます。それぞれ構造や特徴が異なり、車の種類や用途に合わせて最適なものが選ばれます。
このように、固定式等速ジョイントは、前輪駆動車にとって重要な部品であり、滑らかで安全な走行を実現するために欠かせないものです。角度が大きく変化する場所で使用されるため、耐久性も重要な要素となります。