安全を守る!アンチロックブレーキシステム
車を運転する時、どうしても急ブレーキが必要な場面に出くわすことがあります。しかし、急ブレーキは思わぬ危険を招く可能性があるため、できる限り避けるべきです。特に路面が濡れていたり、凍結している時は、タイヤがロックしやすくなり、大変危険です。タイヤがロックするとは、タイヤの回転が止まってしまうことで、まるで氷の上を滑るように、車が制御を失ってしまう状態を指します。
タイヤがロックすると、ハンドル操作が効かなくなります。例えば、右にハンドルを切っても、車はそのまま直進してしまい、思い通りに方向転換することができません。これは、タイヤが路面をしっかりと捉えられず、滑っているために起こります。また、急ブレーキをかけると、車は前のめりになり、荷重が前輪に集中します。後輪の荷重が軽くなることで、さらにグリップ力が低下し、スピンや横滑りの危険性が高まります。
急ブレーキによって制動距離が伸びることも大きな問題です。制動距離とは、ブレーキをかけてから車が完全に停止するまでの距離のことです。タイヤがロックすると、路面との摩擦が減り、制動距離が伸びてしまいます。つまり、停止するまでに長い距離が必要になるということです。これは、前方の車や障害物に衝突する危険性を高めます。
このような急ブレーキによる危険を減らすために、多くの車にはアンチロックブレーキシステム(ABS)が搭載されています。ABSは、タイヤがロックするのを防ぎ、ブレーキをかけたままでもハンドル操作を可能にするシステムです。急ブレーキが必要な場面に遭遇した場合は、迷わずブレーキペダルを強く踏み込みましょう。ABSが作動し、タイヤのロックを防ぎながら、安全に車を停止させることができます。ただし、ABSは万能ではありません。路面状況や車の速度によっては、完全に事故を防げない場合もあります。日頃から安全運転を心がけ、急ブレーキが必要な状況を避けることが最も重要です。