樹脂製

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車の構造

車の燃料タンク:種類と進化

車は、走るために燃料が必要です。その燃料を安全に保管する場所が、燃料タンクです。燃料タンクは、いわば車の弁当箱のようなもので、必要な時に必要な量の燃料をエンジンに送り届ける役割を担っています。 この弁当箱の大きさは、どのくらい遠くまで走れるか、つまり航続距離に直接関係します。大きなタンクであればたくさんの燃料を積めるので、長い距離を走ることができます。逆に小さなタンクでは、こまめな燃料補給が必要になります。 燃料タンクは、ただ燃料を貯めておくだけではありません。車の動きに合わせて燃料が揺れたり、片寄ったりすると、エンジンへの燃料供給が不安定になる可能性があります。これを防ぐため、タンクの中には隔壁や防波板などが設けられ、燃料の揺れを抑える工夫が凝らされています。ちょうど、お弁当箱の中に仕切りがあることで、おかずが片寄るのを防ぐのと同じです。 さらに、安全面も非常に重要です。万一の事故の際、燃料漏れは大きな危険につながります。そのため、燃料タンクは強い衝撃にも耐えられる頑丈な作りになっています。また、車体への取り付け位置も、追突などによる損傷を受けにくい場所が選ばれています。 そして、環境への配慮も欠かせません。燃料の蒸発は、大気を汚染する原因の一つです。最近の燃料タンクは、この蒸発ガスを回収し、大気中への放出を防ぐ仕組みを備えています。このように、燃料タンクは、一見すると単純な入れ物に見えますが、車の性能や安全性、環境保護に深く関わる重要な部品なのです。
車の構造

車の樹脂製燃料タンク:利点と課題

自動車の燃料を蓄える容器、燃料タンクは、かつては鋼板で作られるのが主流でした。しかし、近年では樹脂製の燃料タンクが採用されるケースが増えています。この樹脂製燃料タンクは、主に高密度ポリエチレンと呼ばれる樹脂素材で作られています。高密度ポリエチレンは、熱を加えると柔らかく形を変えやすくなる熱可塑性樹脂の一種です。この性質のおかげで、様々な形に加工することが容易になります。 従来の鋼板製タンクでは、形を変えるのが難しく、どうしても単純な形になりがちでした。そのため、車体の設計に合わせて燃料タンクの置き場所や大きさが制限されることもありました。しかし、樹脂製タンクであれば、複雑な形にも自在に対応できるため、車体の限られた空間を最大限に活用し、燃料タンクの容量を大きくすることができます。例えば、車体の底面の凸凹に沿った形状や、後部座席の下にぴったり収まる形状など、様々な工夫が凝らされています。 樹脂製タンクのもう一つの利点は、鋼板製タンクに比べて軽量であることです。自動車の燃費を向上させるためには、車体を軽くすることが重要です。樹脂製タンクは、この軽量化に大きく貢献しています。さらに、樹脂は錆びないという特性も持っています。鋼板は錆びを防ぐための塗装が必要ですが、樹脂はその必要がなく、製造工程の簡素化にも繋がります。 このように、樹脂製燃料タンクは、形状の自由度、軽量化、防錆性といった多くの利点を持っています。これらの利点により、自動車の設計の自由度を高め、燃費向上にも貢献し、ひいては環境保護にも繋がっていると言えるでしょう。今後も、樹脂製燃料タンクは自動車の進化において重要な役割を担っていくと考えられます。