次世代エネルギー

記事数:(1)

環境対策

未来の燃料:メタンハイドレート

深い海の底、水深五百メートルを超えるあたりに、不思議な氷が眠っています。一見すると普通の氷のようですが、実はメタンハイドレートと呼ばれる特殊な氷です。この氷は、未来の燃料として期待されており、世界中の深海底に広く分布しています。その埋蔵量は膨大で、現在確認されている石油や石炭、天然ガスといった化石燃料全体の二倍にもなると言われています。まさに夢のエネルギー資源と言えるでしょう。 では、このメタンハイドレートとは一体どのようなものなのでしょうか。名前の通り、メタンガスを含んだ氷です。ただし、単に氷の中にガスが閉じ込められているのではありません。水分子がまるで鳥籠のようにメタン分子を包み込み、シャーベット状の固体となっているのです。外観は氷に似ていますが、火をつけると燃えるという不思議な性質を持っています。これは、閉じ込められていたメタンガスが燃えているためです。メタンハイドレートは、低温かつ高圧の環境で安定した状態を保ちます。そのため、深い海底や永久凍土層といった特殊な場所に存在するのです。 メタンハイドレートは、莫大なエネルギー資源として期待されていますが、同時に取り扱いには注意が必要です。メタンは二酸化炭素よりも温室効果が高い気体です。もし、メタンハイドレートが大量に溶け出し、メタンガスが大気中に放出されると、地球温暖化を加速させてしまう恐れがあります。また、海底のメタンハイドレートの掘削は、海底地盤の崩壊や、メタンガスの噴出といったリスクも伴います。そのため、安全かつ環境に配慮した技術開発が必要不可欠です。未来のエネルギーを担う夢の資源であるメタンハイドレート。その利用に向けて、世界中で研究開発が進められています。