正味出力

記事数:(1)

エンジン

車の軸出力:エンジンの真の実力

車の性能を表す数値として、カタログなどでよく目にする「馬力」。この馬力の測定根拠となるのが「軸出力」です。軸出力とは、エンジンが実際に作り出す動力の大きさを示す大切な指標で、エンジンの真の実力を知る手がかりとなります。 具体的には、エンジンの心臓部とも言えるクランク軸から取り出せる動力の大きさを指します。エンジン内部でピストンが上下運動することでクランク軸が回転し、この回転運動が車輪を駆動する力へと変換されます。このクランク軸から直接取り出せる動力の大きさが、まさに軸出力なのです。 軸出力の測定には「動力計」と呼ばれる装置を使います。この動力計とエンジンのクランク軸を繋ぎ、エンジンの回転数を様々に変化させながら出力を計測します。測定された数値は、キロワット(kW)もしくは馬力(PS)という単位で表されます。 重要なのは、この軸出力はエンジン単体で発生できる出力を表すという点です。つまり、実際に車を走らせる際に発生するタイヤの抵抗や空気抵抗、その他の駆動系の損失などは一切含まれていません。私たちが運転する際に感じる車の力強さは、この軸出力から様々な抵抗による損失を差し引いたものになります。ですから、カタログに記載されている馬力(軸出力)が高いからといって、必ずしも実際の走行性能が高いとは限らないのです。 とはいえ、軸出力はエンジンの純粋な性能を評価する上で非常に重要な指標です。様々な条件を一定にした状態で測定されるため、異なるエンジン同士の性能を比較する際に客観的な基準となります。エンジンの設計や改良においても、この軸出力を向上させることが重要な目標となります。