クルマの止まる仕組み:油圧ブレーキ
油圧ブレーキとは、液体の力を用いて車輪の回転を抑え、車を止める仕組みです。ブレーキペダルを踏むことで、その力がまずブレーキマスターシリンダーという部品に伝わります。マスターシリンダーは、ブレーキフルードと呼ばれる特殊な油をピストンで押し出す役割を担っています。このブレーキフルードは、密閉された管の中を通って、車の四隅にある車輪のブレーキへと送られます。ブレーキフルードは圧力が均等に伝わる性質を持っているため、ペダルを踏む力を効果的に各車輪に伝えることができます。
車輪のブレーキ部分には、ホイールシリンダーという部品があり、ここにブレーキフルードの圧力が伝わると、シリンダー内のピストンが押し出されます。このピストンはブレーキパッドと呼ばれる摩擦材を押し付け、回転するブレーキローターとの間に摩擦を生じさせます。この摩擦によって回転エネルギーが熱エネルギーに変換され、車輪の回転速度が下がり、車は停止します。
油圧ブレーキは、他のブレーキ方式に比べていくつかの利点を持っています。例えば、機械式のブレーキのように、ワイヤーや金属の棒で力を伝える方式と比べると、少ない力で大きな制動力を得ることが可能です。これは、液体が圧力を均等に伝える性質のおかげです。また、油圧ブレーキは構造が比較的単純であるため、整備もしやすく、製造コストも抑えることができます。これらの利点から、現在販売されている多くの乗用車に油圧ブレーキが採用されています。
一方で、ブレーキフルードは湿気を吸収しやすいという性質があり、定期的な交換が必要です。また、ブレーキ配管のどこかで漏れが発生すると、ブレーキの効きが悪くなる可能性があります。日頃からブレーキの感触に気を配り、異常に気づいたらすぐに点検することが大切です。