泥よけ

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車の構造

隠れた守護者:フェンダーライナー

泥よけは、単なる泥除け以上の働きをしています。正式には「ホイールハウスライナー」や「フェンダーライナー」と呼ばれるこの部品は、車のタイヤハウス内側に取り付けられています。主な役割は、タイヤが回転する際に巻き上げる水や泥、砂利、小石などから車体を守る盾となることです。 泥よけがないと、これらの飛散物は車体に直接衝突し、様々な問題を引き起こします。まず、車体の塗装面が傷つき、美観を損ないます。小さな傷でも、そこから塗装が剥がれ、錆が発生するきっかけとなります。特に冬場は、融雪剤に含まれる塩分が付着することで、錆の進行が加速する危険性があります。また、下回りの部品にも悪影響を及ぼします。エンジンルームやブレーキ系統などに泥や砂利が入り込むと、部品の劣化や故障の原因となる可能性があります。 高速道路を走行する場面を想像してみてください。雨天時、前方の車が巻き上げる水しぶきは、想像以上に勢いがあります。もし泥よけがなければ、車体側面や下回りはあっという間に泥だらけになり、視界が悪くなることもあります。また、後続車にも泥水を跳ね上げてしまい、迷惑をかけることになります。泥よけは、このような事態を防ぎ、安全な運転環境を維持するのにも貢献しています。 泥よけは、材質にも工夫が凝らされています。一般的には、柔軟性と耐久性に優れた樹脂やゴムが用いられています。これにより、路面からの衝撃や振動を吸収し、車体への負担を軽減する効果も期待できます。また、軽量であるため、燃費への影響も最小限に抑えられます。 このように、泥よけは、車の美観と耐久性を守るだけでなく、安全運転にも寄与する重要な部品と言えるでしょう。一見地味な存在ですが、縁の下の力持ちとして、私たちの快適なカーライフを支えているのです。
エアロパーツ

車の翼、ウイングの役割

昔の車は、舗装されていない道を走ることが多かったため、タイヤが巻き上げる泥や小石が問題でした。車体が汚れ傷つくだけでなく、運転している人や歩いている人に当たる危険もありました。これを防ぐために、タイヤを覆う部品が必要でした。そこで登場したのが、車体とは別に独立して取り付けられた板状の部品、今で言う泥よけです。これが、翼のような形をしていたことから「羽根」を意味する「ウイング」と呼ばれるようになりました。 初期の車はタイヤがむき出しで、雨の日は泥だらけ、晴れの日は砂ぼこりで、乗る人も周りの人も大変でした。ウイングは、この問題を解決する画期的な部品でした。材質は金属や木などで作られ、形も様々でした。丸みを帯びたもの、四角いもの、流れるような曲線を描いたものなど、車種によって個性的なデザインが施されていました。ウイングは単なる実用的な部品ではなく、車の外観の重要な要素の一つでもありました。 時代が進むにつれて、道路が舗装され、車の構造も変化していくと、ウイングは車体と一体化した形に変わっていき、今では泥よけ全体を指す「フェンダー」という言葉が一般的になりました。「ウイング」という言葉は、独立したフェンダーを持つ昔の車、特に年代物の車に対して使われることが多くなりました。現代の車では、空気抵抗を少なくするために車体と一体化したフェンダーが主流ですが、昔の車の独立したウイングを見ると、自動車の歴史と進化を感じることができます。ウイングは、車の発展における重要な部品であり、その歴史を知ることで、車のデザインの変化や技術の進歩をより深く理解することができます。