流体継ぎ手

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駆動系

滑らかな走りを実現する流体動力

車は、静止状態から滑らかに動き出し、自在に速度を変えることができます。この快適な運転を支える技術の一つに、「流体の力」を使った動力伝達機構があります。これは、水や空気のように流れる性質を持つ物質、すなわち流体が持つ運動の力を利用する仕組みです。 自動で変速する装置を持つ車では、この流体の力を用いて、回転する力を持つ機械からタイヤへと動力を伝えています。具体的には、回転する機械の回転力はまず、羽根車を持つ「ポンプ」と呼ばれる装置に伝わります。この羽根車は、ちょうど扇風機のように、回転することで周りの空気を動かします。しかし、扇風機が空気を動かすのに対し、ポンプは油を動かします。ポンプの中の羽根車が回転すると、中の油に勢いがつき、油は運動の力を持つようになります。この油が持つ運動の力こそが、流体の力です。 回転する機械の力は、ポンプによって油の力に変換され、この油の力はさらに別の羽根車を持つ装置である「タービン」へと伝えられます。タービンはポンプとは逆に、油の流れを受けることで羽根車を回転させます。まるで、水路を流れる水が水車を回す様子を思い浮かべてみてください。勢いよく流れる油がタービンの羽根車を回転させることで、回転する機械の力は最終的にタイヤへと伝わり、車は動き出します。 このように、流体の性質を利用することで、滑らかで力強い発進と加速が可能になります。油の流れを調整することで、エンジンの回転力を効率的にタイヤに伝えることができ、スムーズな運転を実現しているのです。まるで、自転車のギアチェンジのように、状況に応じて適切な力の伝達を可能にしていると言えるでしょう。
機能

車の駆動力曲線を読み解く

駆動力曲線とは、自動車の性能を図で表したもので、エンジンの回転数や車の速さと、路面を押す力の関係を読み解くための重要な資料です。縦軸には路面を押す力とエンジンの回転数を、横軸には車の速さを示します。 この図には、異なる歯車比における路面を押す力とエンジンの回転数、そして様々な坂道の傾斜がもたらす抵抗が示されています。簡単に言うと、車の速さが変わるにつれて、エンジンがどれだけの力を出し、どれだけの抵抗を受けているかを示す図解です。これを読み解くことで、その車の最高速度や坂道を登る能力、加速性能といった様々な走行特性を把握することができます。 例えば、急な坂道を登る能力が高い車は、低い速度域でも大きな力を発揮できるため、図の低い速度部分で路面を押す力が大きく表示されます。これは、低い速度でも大きな力を生み出せる強力なエンジンを搭載していたり、坂道に強い歯車比の設定がされていることを意味します。 また、高速道路での加速性能に優れた車は、高い速度域でも十分な力を維持できるため、図全体にわたって高い路面を押す力が示される傾向にあります。これは、高回転まで力強く回るエンジン特性や、高速走行に適した歯車比を持っていることを示しています。 さらに、様々な坂道の傾斜における抵抗もこの図に示されます。急な坂道ほど抵抗は大きくなるため、その抵抗を上回る力が必要になります。駆動力曲線が抵抗の線を上回っている範囲であれば、その坂道を登ることができるということです。 このように、駆動力曲線は車の性能を様々な角度から理解するための重要な道具と言えるでしょう。それぞれの線が何を表しているのか、そしてそれらがどのように車の性能に関係しているのかを理解することで、車選びの際にも役立つ情報を得ることができるでしょう。