浸漬塗装

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車の生産

浸漬塗装:隅々まで塗料を届ける技術

浸漬塗装とは、読んで字のごとく、塗装したい物を塗料の槽にどっぷりと沈めて塗装する方法です。まるで、お菓子作りで果物をチョコレートに浸してコーティングする作業を想像すると分かりやすいでしょう。 この方法は、複雑な形をした部品を塗装する際に特に有効です。スプレー塗装のように、塗料を吹き付ける方法では、どうしても塗料が届きにくい場所が出てきてしまいます。例えば、箱のような形をした部品の内側や、細かい溝の部分などです。しかし、浸漬塗装であれば、部品全体を塗料に沈めるため、隅々まで均一に塗料を付着させることができます。 自動車の製造工程では、この浸漬塗装が下塗り塗装、いわゆる電着塗装として広く使われています。完成した車は、美しく輝く塗装で覆われていますが、その下には、車体を守るための重要な下塗り層が存在します。この下塗りこそが、浸漬塗装によって施されているのです。車体全体を巨大な塗料の槽に沈めることで、複雑な形状の車体でも、全体にムラなく下塗りを施すことができます。特に、錆を防ぐという点で、この下塗りは非常に重要です。浸漬塗装によって、車体のあらゆる部分に下塗りが行き渡るため、高い防錆効果を得ることができるのです。 さらに、浸漬塗装は一度にたくさんの部品を塗装できるため、効率的な塗装方法として知られています。小さな部品であれば、一度に数百個、数千個をまとめて塗料に沈めることも可能です。このように、浸漬塗装は、効率性と品質の両方を兼ね備えた、優れた塗装方法と言えるでしょう。