混流生産

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車の生産

共用ライン:車の多種少量生産を支える仕組み

自動車を作る工場では、これまで、一つの流れ作業の列は、一つの車種を作るためだけに用意されていました。例えば、ある車はAライン、別の車はBラインというように、車種ごとに別々の流れ作業の列が工場の中に作られていたのです。 しかし、時代の流れとともに、人々の車の好みは多様化し、たくさんの種類の車を少しずつ作る必要が出てきました。もし、車種ごとに新しい流れ作業の列を作るとなると、工場の敷地はどんどん広がってしまい、新しい機械を買うのにも多くのお金がかかってしまいます。 そこで考えられたのが「共用ライン」です。これは、複数の車種を同じ流れ作業の列で作れるように工夫したものです。例えば、朝はA車、昼はB車、夕方はC車を作るといったように、一つの流れ作業の列を時間帯によって違う車種を作るために使うことができます。 共用ラインにするためには、流れ作業の列で使う機械を様々な車種に対応できるように改良する必要があります。例えば、車の部品を組み付けるロボットアームを、様々な形の部品に対応できるようにしたり、車体を運ぶベルトコンベアーの幅を調整できるようにしたりするのです。 共用ラインは、工場の敷地を有効に使えるだけでなく、新しい機械を買うお金を抑えることにもつながります。また、人々の需要の変化に合わせて、柔軟に作る車種を変えることができるため、売れ筋の車を必要な分だけ作ることが可能になります。この柔軟性こそが、共用ラインの最大の利点であり、自動車を作る会社にとって大きな助けとなっています。