渦電流

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車の開発

車の心臓部、エンジンのパワーを測る

車の心臓部である発動機は、どれほどの力を秘めているのでしょうか?その力を測る方法の一つに、回転の抵抗を利用した「うず電流動力計」があります。これは、発動機が持つ回転する力を、抵抗の力に変えて測る道具です。 発動機が生み出す回転する力は、動力計の中にある円盤に伝えられます。この円盤は、強力な磁石のすぐそばで回転する仕組みになっています。すると、磁石と回転する円盤の間で不思議な現象が起こります。「電磁誘導」と呼ばれるこの現象によって、円盤の中に「うず電流」という電流が生まれます。まるで水の渦のように流れるこの電流は、磁石との間で、ブレーキのような働きをします。回転する円盤を止めようとするのです。 この止める力の大きさが、発動機の回転する力を表しています。回転する力を「回転力」と呼びますが、専門的には「トルク」とも呼ばれます。うず電流動力計はこのトルクを測っているのです。 さらに、このトルクと発動機の回転する速さ(回転数)が分かれば、発動機の本当の力、つまり「出力」を計算することができます。出力は馬力などで表され、車のカタログなどでよく目ににする数字です。 このように、うず電流動力計は、目に見えない力を、回転抵抗と電磁誘導という現象を利用して、私たちが理解できる数字に変換してくれる、大変便利な道具なのです。
機能

電磁式リターダー:未来のブレーキ技術

電磁式遅延装置は、電気を帯びた磁石の力を利用して乗り物の速度を落とす仕組みです。この装置は、電磁石が作る磁気の場と、回る金属の円盤との間で起こる現象を利用しています。金属の円盤が磁気の場の中で回転すると、うず巻状の電流が発生します。これをうず電流と呼びます。このうず電流は、金属の円盤の回転を邪魔する方向に力を生み出し、止まる力を働かせます。発生した熱は、円盤から空気に放出されます。 この仕組みは、摩擦を利用した従来の止め装置とは大きく違います。従来の止め装置は、部品同士が擦れ合うことで止まる力を発生させていますが、電磁式遅延装置は磁気の力を使うため、部品の擦り減りが少なく、長く使い続けられるという利点があります。また、長い下り坂などでブレーキを使い続けると、ブレーキの効きが悪くなる現象(フェード現象)が発生することがありますが、電磁式遅延装置ではこの現象が起こりにくいという利点もあります。そのため、安全性も高く、特に下り坂の多い山道など、ブレーキに負担がかかりやすい状況で大きな効果を発揮します。 電磁式遅延装置は、摩擦ではなく磁気の力を使うことで、摩耗を減らし、寿命を長くし、安全性も高めている画期的な装置です。下り坂が多い場所での走行が多い大型車両や、安全性が特に求められる車両などに搭載されることが多く、その効果は運転手からも高く評価されています。近年の技術革新により、装置の小型化、軽量化も進み、今後ますます普及していくことが期待されています。
機能

永久磁石式リターダー:燃費と安全の両立

永久磁石式リターダーは、電気を必要としない永久磁石の力を利用して、ブレーキをかける補助を行う装置です。電磁石を使うものと基本的な仕組みは同じですが、電気を全く使わないという大きな違いがあります。 仕組みを詳しく見ていきましょう。まず、リターダーの中には金属でできた円盤(ローター)が入っていて、これが車輪の回転に合わせて回ります。この回転する円盤に、強力な永久磁石を近づけます。すると、金属の円盤の中に渦を巻くような電流が発生します。これを渦電流と呼びます。この渦電流は磁石の作る磁界と反発し合い、円盤の回転を遅らせようとします。回転を遅らせる力は、ちょうどブレーキをかけた時と同じように、車の速度を落とす力として働きます。 永久磁石を使うことの利点は、電気を必要としないという点です。電磁石を使うタイプのリターダーでは、磁力を発生させるために電気を流す必要がありますが、永久磁石ならその必要がありません。そのため、装置の構造が簡単になり、故障のリスクも低減できます。また、エンジンブレーキのように排気ガスを出すこともなく、環境にも優しい装置と言えます。 永久磁石式リターダーは、主に大型トラックやバスなどの大型車両に搭載されています。これらの車両は重量が大きく、下り坂などでスピードが出やすいため、ブレーキへの負担が大きくなります。そこで、リターダーを使うことでブレーキの負担を軽減し、安全性を高めることができます。特に長時間の坂道走行では、ブレーキの過熱による制動力の低下(フェード現象)を防ぐ効果が大きく、安全性に大きく貢献します。