溶剤系

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車の生産

自動車と接着剤:見えない縁の下の力持ち

ものを繋ぎ合わせる接着剤には、実に様々な種類があります。古くから使われてきた、動物の骨や皮から作られる膠(にかわ)や、植物から取れるアラビアゴムといった天然由来のものは、今もなお特定の用途で重宝されています。一方、現代では人工的に合成された接着剤が主流となっています。 これらの接着剤は、合成樹脂や合成ゴムを原料として作られており、工業製品の製造現場で広く活用されています。接着剤は、大きく分けて溶剤系、水分散系、ホットメルト系、反応系の4種類に分類されます。それぞれに特徴があり、適材適所で使い分けられています。 溶剤系接着剤は、かつて多くの現場で使われていましたが、有機溶剤による作業環境への悪影響や、換気の必要性といった作業上の問題から、近年では使用が控えられています。特に、自動車の製造現場ではほとんど見かけることがなくなりました。 水分散系接着剤は、水を溶媒として使用するため、溶剤系に比べて環境への負荷が小さく、安全性が高いという利点があります。接着力が弱く、乾燥に時間がかかるというデメリットもありますが、近年では技術の進歩により性能が向上し、様々な分野で使用されるようになってきました。 ホットメルト系接着剤は、加熱して溶かし、冷えると固まる性質を持つ接着剤です。速乾性があり、作業効率が良いという特徴があります。包装や製本といった分野で広く利用されています。 反応系接着剤は、化学反応によって硬化する接着剤で、高い強度と耐久性を持つのが特徴です。エポキシ系やウレタン系といった種類があり、建築や土木、自動車といった分野で重要な役割を担っています。自動車の車体組み立てには、高い強度と耐久性が求められるため、反応系接着剤が欠かせない存在となっています。