静圧軸受け:摩擦を減らし滑らかに回転
静圧軸受けは、滑り軸受けの一種です。軸受けとは、回転する軸を支える部品のことですが、滑り軸受けは、軸と軸受けが油などの流体によって隔てられています。静圧軸受けの特徴は、軸と軸受けの隙間に、油や空気を外部から圧送して、軸を浮かせた状態で支えるという点にあります。
この仕組みによって、軸と軸受けは直接接触することがありません。軸は、ちょうど水面に浮かぶ船のように、圧送された流体の膜の上に乗っている状態です。そのため、摩擦が非常に小さくなり、滑らかで精密な回転を実現できます。静圧軸受けを使うことで、摩擦によるエネルギーの損失を抑え、装置全体の効率を高めることが期待できます。
従来の軸受け、例えば油膜によって軸を支える動圧軸受けの場合、軸の回転速度が低いと油膜が薄くなり、摩擦が大きくなるという問題がありました。特に、機械の起動時や停止直前は、回転速度が低いため、摩擦による摩耗や振動が発生しやすくなります。しかし、静圧軸受けの場合は、外部から圧力をかけて常に油膜を一定の厚さに維持できるため、低速時でも安定した回転を保つことが可能です。このため、起動・停止時の摩擦や摩耗を大幅に低減できます。
このような特性から、静圧軸受けは、非常に精密な動きが求められる機械、例えば工作機械や測定器などに用いられています。ほんのわずかな振動も許されない場面で、静圧軸受けは正確で安定した動作を支えています。また、摩擦が少ないため発熱も少なく、熱による変形の影響を受けにくいという利点もあります。これにより、より高い精度と安定性が実現可能です。