リューブライト処理:滑らかな冷間鍛造を実現する技術
金属を加工する技の一つに、冷間鍛造というものがあります。冷間鍛造は、金属を常温のまま、力を加えて変形させることで、複雑な形の部品を高精度に作ることができる技術です。温めたりせずに金属を形作るため、材料の性質が変わらず、強い部品を作ることができます。
しかし、冷間鍛造は、金属をそのままの温度で変形させるため、大きな力が必要です。この時、材料と型の間で大きな摩擦が生じます。この摩擦が大きすぎると、うまく加工できなかったり、型が傷んでしまったりするなどの問題が起こります。そのため、冷間鍛造では、材料と型の間の摩擦をいかに減らすかが、非常に重要な課題となります。
この摩擦を減らし、スムーズな加工を実現するために開発されたのが、リューブライト処理です。リューブライト処理とは、金属の表面に特殊な膜を形成する技術です。この膜は、潤滑油をしっかり保持することができ、金属同士の直接的な接触を防ぎます。まるで、二つの物の間に油の膜を挟むように、摩擦を大幅に減らすことができるのです。
リューブライト処理によって、摩擦が減ることで、冷間鍛造の加工はよりスムーズになり、複雑な形状の部品でも高精度に作ることが可能になります。また、型の寿命も延び、生産性の向上にも繋がります。さらに、材料と型の摩擦による発熱を抑えることができるため、材料の変質を防ぎ、より高品質な部品を製造することができるのです。まさに、冷間鍛造における画期的な技術と言えるでしょう。