熱対策

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車の構造

車の遮熱板:ヒートインシュレーターの役割

車は、エンジンや排気管など、非常に高い温度になる部分がいくつもあります。これらの熱は、周辺の部品に深刻なダメージを与える可能性があります。燃料を運ぶ管やブレーキを制御する部品、様々な情報を伝える装置、電気を流す配線、ゴムや樹脂でできた部品などは、熱に弱く、高い温度にさらされると本来の働きができなくなったり、劣化したりすることがあります。最悪の場合は、火災を引き起こす危険性も無視できません。 このような危険を防ぐために、熱を遮る板が重要な役割を果たします。熱を遮る板は、熱に強い材料で作られた板状の部品で、熱の発生源と熱に弱い部品の間に設置されます。この板は、熱を遮断することで、周辺の部品を熱から守る役割を担います。まるで、熱から守る盾のような存在と言えるでしょう。 熱を遮る板には、様々な種類があります。材質も、鉄やアルミ、セラミックなど、用途に応じて使い分けられています。形状も様々で、熱源や保護対象の部品に合わせて、最適な形状が選ばれます。例えば、エンジンルーム内では、エンジン本体や排気多岐管などを覆うように設置され、エンジンから発生する熱が他の部品に伝わるのを防ぎます。また、排気管の周辺にも設置され、排気管から出る高温の排気ガスが、近くの部品に影響を与えるのを防ぎます。 熱を遮る板は、車の安全性と信頼性を維持するために、非常に重要な部品です。この板がなければ、車の様々な部品が熱によって損傷し、故障や事故につながる可能性があります。普段は目に触れる機会が少ない部品ですが、縁の下の力持ちとして、私たちの安全な運転を支えていると言えるでしょう。
エンジン

オートサーミックピストン:過去の技術

エンジンは、燃料を燃焼させることで動力を生み出します。この燃焼は高温高圧な環境で行われるため、エンジン内部の部品、特にピストンは過酷な熱にさらされます。高温にさらされたピストンは熱によって膨張し、その形状や寸法が変化します。この膨張が過度になると、ピストンとシリンダー壁との隙間が小さくなりすぎて、摩擦抵抗が増加します。最悪の場合、ピストンがシリンダー壁に固着する「焼き付き」と呼ばれる現象が発生し、エンジンが損傷する可能性があります。このような問題を解決するために開発されたのが、自己熱制御ピストン、別名オートサーミックピストンです。 自己熱制御ピストンは、熱膨張を自ら制御する特別な仕組みを備えています。ピストンの材質を工夫することで、高温になっても過度に膨張しないように設計されているのです。具体的には、ピストンの中でも特に高温になりやすい「ピストンピンボス」と呼ばれる部分に、熱膨張率の低い特別な鋼材が埋め込まれています。ピストンピンボスは、ピストンとコネクティングロッド(コンロッド)を繋ぐピストンピンを支える重要な部分です。この部分に熱膨張率の低い鋼材を埋め込むことで、高温下でもピストンピンボスの膨張を抑制し、ピストン全体の形状変化を最小限に抑えることができます。 この特別な鋼材は、一般的に「アンバー鋼」と呼ばれています。アンバー鋼は、他の鋼材と比べて熱膨張率が低いという特性を持つため、自己熱制御ピストンに最適な材料です。アンバー鋼をピストンピンボスに埋め込むことで、ピストン全体の熱膨張を効果的に制御し、摩擦抵抗の増加や焼き付きといった問題を防止できます。これにより、エンジンの耐久性と性能が向上し、より長く、よりスムーズに車を走らせることが可能になります。