列型燃料噴射ポンプ:旧式エンジンの心臓部
車は、燃料を燃やすことで力を生み出し、走ります。その燃料をエンジンに送り込む大切な部品が、列型燃料噴射ポンプです。このポンプは、エンジンの心臓部とも言える重要な役割を担っています。
このポンプの中には、プランジャーと呼ばれる部品が複数備わっています。プランジャーは、上下に動く小さな筒のような形をしています。エンジンの動力は、回転運動です。この回転運動をカムシャフトと呼ばれる部品が、プランジャーの上下運動に変換します。カムシャフトは、山のように出っ張った部分がいくつもある棒状の部品で、エンジン内部で回転しています。このカムシャフトが回転すると、山になった部分がプランジャーを押し上げます。そして、プランジャーが押し上げられると、燃料を高圧でエンジンに送り込むのです。
エンジンの気筒一つ一つに、対応したプランジャーが備わっています。カムシャフトの回転と連動して、各プランジャーは正確なタイミングで燃料を噴射します。まるで、心臓が全身に血液を送るように、このポンプはエンジン全体に燃料を供給し、エンジンの動きを支えています。
列型燃料噴射ポンプは、構造が比較的単純です。部品点数も少なく、頑丈に作られています。そのため、故障しにくく、整備もしやすいという利点があります。特に、建設機械や農業機械など、厳しい環境で使用されるディーゼルエンジンでは、その信頼性の高さから長年使われてきました。現在でも、多くのディーゼルエンジンで活躍しています。