軽油の着火性を示すセタン指数
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンとは異なる仕組みで動力を生み出します。ガソリンエンジンが電気の火花で燃料に火をつけるのに対し、ディーゼルエンジンは圧縮によって熱くなった空気に燃料を噴射することで自然に火がつくという仕組みです。この燃料への火のつきやすさを数値で表したものがセタン価と呼ばれています。
セタン価とは、ディーゼル燃料の着火性の良さを示す指標です。セタン価が高いほど、燃料は素早く、そして確実に火がつきます。これは、エンジンを始動する時や、走行中にアクセルを踏んで加速する時に、スムーズに力が発揮されることを意味します。朝晩の冷え込みが厳しい時でも、一発でエンジンがかかり、力強く走り出すことができます。また、燃焼が安定するため、排気ガスもクリーンになり、環境にも優しいという利点もあります。
逆に、セタン価が低い燃料を使用するとどうなるでしょうか。低いセタン価の燃料は、なかなか火がつきにくいため、エンジンがかかりにくくなります。特に寒い時期には、エンジン始動に時間がかかったり、何度もクランキングを繰り返す必要が出てくるかもしれません。また、着火が遅れることで燃焼が不完全になり、黒煙が発生しやすくなります。黒煙は、大気汚染の原因となるだけでなく、エンジンの内部にも悪影響を及ぼす可能性があります。
理想的なディーゼル燃料は、圧縮による自然着火がスムーズに行われ、エンジンの性能を最大限に引き出すものです。そのため、セタン価はディーゼルエンジンの性能にとって非常に重要な指標となります。自分の車に適したセタン価の燃料を選ぶことで、エンジンの寿命を延ばし、快適な運転を楽しむことができるでしょう。