高性能の証!狭角4バルブエンジン
自動車の心臓部であるエンジンには、空気と燃料を混ぜた混合気を燃焼室に吸い込み、燃焼後の排気ガスを排出する吸排気バルブが欠かせません。この吸排気バルブの配置、特にバルブ挟み角は、エンジンの性能を左右する重要な要素です。バルブ挟み角とは、吸気バルブと排気バルブの中心線を結んだ角度のことです。
以前は、このバルブ挟み角が45度から90度程度のものが主流でした。しかし、近年の技術の進歩により、燃焼室をより小さく、コンパクトにする設計が求められるようになりました。そこで登場したのが狭角4バルブエンジンです。狭角4バルブエンジンとは、このバルブ挟み角を小さく設計したエンジンのことを指します。具体的には、30度以下、時には22度程度の小さな角度に設定することで、燃焼室を理想的な形状に近づけることが可能となります。
バルブ挟み角を小さくすると、燃焼室の形状がペントルーフ型と呼ばれるコンパクトな形状に近づきます。この形状は、混合気の燃焼効率を高める上で非常に有利です。燃焼室がコンパクトになることで、火炎伝播経路が短くなり、燃焼速度が向上します。その結果、より大きな出力を得られるとともに、燃費の向上にも繋がります。さらに、点火プラグを燃焼室の中心に配置しやすくなるため、混合気を均一に燃焼させることができ、有害な排気ガスの発生を抑える効果も期待できます。
高性能エンジンでは、この狭角4バルブが広く採用されています。レースカーなど、高い出力を必要とするエンジンでは、22度程度の極めて小さなバルブ挟み角が用いられることもあります。これは、極限まで燃焼効率を高めるための工夫と言えるでしょう。一般の乗用車においても、燃費向上と出力向上の両立が求められる中で、狭角4バルブエンジンは重要な技術となっています。