発進機構

記事数:(1)

駆動系

滑らかな走りを実現するトルクリミッター

車は静止した状態から動き出す時、エンジンの力とタイヤを滑らかにつなぐ必要があります。この大切な役割を担うのが発進機構です。手で操作を行う変速機を持つ車とは違い、自動で変速する車や無段階変速機を持つ車では、発進操作も自動で行われます。 無段階変速機を持つ車には、電磁石を使った繋ぎ手、湿式多板繋ぎ手、流体継ぎ手、回転力を伝える装置といった様々な発進機構が採用されています。これらの機構は、エンジンの動力をタイヤへと伝える際に、滑らかに繋ぐことで急な発進や動力伝達部品の損傷を防ぐ役目を果たします。 例えば、電磁石を使った繋ぎ手は、電磁石の力で繋ぎ手板を押し付けることで、エンジンの回転をタイヤに伝えます。この繋ぎ手は構造が単純で制御もしやすいという利点があります。湿式多板繋ぎ手は、油の中で複数の板を摩擦させて動力を伝えます。滑らかに繋がり、大きな力を伝えられるのが特徴です。流体継ぎ手は、羽根車を使って油の流れで動力を伝えます。衝撃を吸収する能力が高いため、スムーズな発進に貢献します。回転力を伝える装置は、油の流れと羽根車の組み合わせで動力を伝達し、滑らかな発進と燃費向上を両立させています。 これらの機構は、いわばエンジンとタイヤの間を取り持つ仲介役として、乗員が快適に発進できるように重要な役割を果たしているのです。それぞれの機構には特性があり、車の種類や用途に合わせて最適なものが選ばれています。これにより、私たちは日々快適な運転を楽しむことができるのです。