白煙

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2ストロークエンジンの燃料混合潤滑

燃料混合潤滑とは、二行程機関特有の潤滑方法です。二行程機関は、四行程機関とは異なり、クランク室圧縮という仕組みを使っています。四行程機関では、吸気、圧縮、爆発、排気の行程をピストンが4回上下することで1サイクルとなりますが、二行程機関はピストンの上下2回で1サイクルとなります。このため、二行程機関には、四行程機関のように独立した潤滑系統がありません。二行程機関では、クランク室という空間を使って混合気を圧縮し、燃焼室に送り込みます。このクランク室に潤滑油を供給すると、燃料と一緒に燃焼室に送り込まれ、潤滑を行うことができます。 具体的には、ガソリンなどの燃料に、あらかじめ決められた割合で潤滑油を混ぜて使います。この混合燃料は、燃料タンクからキャブレターまたは燃料噴射装置を介してクランク室に送られます。クランク室で圧縮された混合気は、シリンダーへ送り込まれ、燃焼します。この時、混合気に含まれていた潤滑油が、ピストン、シリンダー壁、クランク軸などの摺動部に付着し、潤滑膜を形成することで、摩擦や摩耗を低減します。燃焼後は、排気ガスと共に潤滑油も排出されます。 燃料混合潤滑の最大の利点は、構造の簡素化です。四行程機関のように、オイルポンプ、オイルフィルター、オイルパンなどの部品が不要になるため、エンジンを小型軽量化することができます。また、製造コストも抑えることができます。このため、チェーンソーや草刈機などの小型動力機器、そして一部のオートバイなどで広く採用されています。しかし、潤滑油が燃焼してしまうため、排気ガスが汚れるという欠点もあります。また、潤滑油の混合比を正確に守らないと、エンジンが焼き付いたり、性能が低下する可能性があります。そのため、正しい混合比で燃料と潤滑油を混ぜることが重要です。近年では、環境規制の強化に伴い、二行程機関の採用は減少傾向にありますが、簡素な構造と軽量であるという利点は、特定の用途において依然として価値があります。
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オイル上がり:白煙の謎を解く

車は、ガソリンを燃やして動力を得る内燃機関と呼ばれる装置を使っています。この内燃機関の中心となる部品の一つが、上下に動くピストンと呼ばれる部品です。ピストンは筒状の空間であるシリンダーの中を上下に動きますが、ピストンとシリンダーの間には、わずかな隙間があります。この隙間は、ピストンの動きを滑らかにするための潤滑油であるエンジンオイルによって満たされています。エンジンオイルは、ピストンの動きを助けるだけでなく、エンジン内部の冷却や部品の保護といった重要な役割も担っています。 オイル上がりとは、このエンジンオイルが本来あるべき場所から、燃焼室に入り込んでしまう現象を指します。燃焼室とは、ガソリンと空気が混合されて爆発的に燃焼することで動力を生み出す空間です。ここにエンジンオイルが入り込むと、様々な問題を引き起こします。オイル上がりの主な原因は、ピストンに取り付けられたピストンリングと呼ばれる部品の劣化です。ピストンリングは、ピストンとシリンダーの間の隙間を適切に保ち、オイルを燃焼室に入れないようにする役割を担っています。しかし、長年の使用や高温高圧の環境にさらされることで、ピストンリングは徐々にすり減ったり、弾力を失ったりします。その結果、オイルをうまくかき落とせなくなり、燃焼室にオイルが入り込んでしまうのです。 もう一つの原因として、シリンダー内壁の摩耗が挙げられます。シリンダー内壁は、ピストンの動きによって常に摩擦にさらされています。この摩擦によって、シリンダー内壁の表面が徐々に削られ、細かい傷がつきます。すると、表面が粗くなり、オイルが燃焼室に流れ込みやすくなってしまうのです。オイル上がりは、エンジンの出力低下や排気ガスの悪化、燃費の悪化といった様々な不具合を引き起こします。また、過剰なオイル消費にもつながるため、定期的なオイル量の確認と適切なメンテナンスが重要です。
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オイル下がりのメカニズムと影響

車の心臓部であるエンジンは、たくさんの金属部品が組み合わさって動いています。これらの部品がスムーズに動くためには、潤滑油、つまりオイルが不可欠です。しかし、このオイルが本来いるべき場所から燃焼室に入り込んでしまう現象があります。これが「オイル下がり」です。 オイル下がりは、具体的にはエンジンの頭の部分にある吸気バルブという部品の隙間からオイルが燃焼室に侵入する現象を指します。吸気バルブは空気を取り込むための扉のような役割を果たしており、この扉を支えるガイドとの間にわずかな隙間があります。通常、この隙間にはごく少量のオイルが存在し、バルブの動きを滑らかにしています。 しかし、車が古くなってくると、このバルブとガイドの隙間が摩耗によって大きくなってしまいます。すると、通常よりも多くのオイルが燃焼室に入り込んでしまうのです。まるで、本来入るべきでない場所に水が漏れ出す水道の蛇口のように、オイルが過剰に燃焼室に流れ込んでしまうのです。 燃焼室は、ガソリンと空気を混ぜて爆発させる場所です。そこにオイルが入り込むと、オイルも一緒に燃えてしまいます。オイルは燃える時に白っぽい煙を出すため、オイル下がりが発生すると、排気ガスが白っぽくなります。また、オイルの消費量が増えたり、エンジン内部にスラッジと呼ばれる汚れが溜まったりすることもあります。オイル下がりはエンジンの性能を低下させるだけでなく、寿命を縮める原因にもなります。適切な整備と早期発見が大切です。