積載量

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車の構造

荷重を支える縁の下の力持ち:従動輪後車軸

道路には、車両の重さに関する厳しい決まりがあります。これは、橋や道路の損傷を防ぎ、安全を確保するために重要なものです。特に、一つの車軸にかかる重さは制限されており、多くの場合、10トン以下に定められています。これは、重量が一点に集中すると、路面や橋に大きな負担がかかり、ひび割れや陥没などを引き起こす可能性があるためです。 しかし、貨物輸送を担うトラックやバスなどは、多くの荷物を運ぶ必要があり、この制限を守ることは容易ではありません。そこで、荷物の重さを分散させるための工夫が凝らされています。その一つが「従動輪後車軸」です。これは、車両後部の駆動輪の後ろに追加の車軸を取り付けることで、荷物を複数の車軸に分散させる仕組みです。 通常、トラックやバスの後ろの車軸は駆動輪であることが一般的です。従動輪後車軸は、この駆動輪の後ろに、駆動しない車軸を追加するものです。この追加の車軸は、荷物を支える役割を担い、駆動輪にかかる負担を軽減します。イメージとしては、荷物を運ぶ際に、一人で持つのではなく、複数人で分担して持つようなものです。 これにより、一つの車軸にかかる重さを10トン以下に抑え、道路や橋への負担を軽減しながら、多くの荷物を運ぶことが可能になります。従動輪後車軸は、普段は目立たない存在ですが、安全な輸送を支える縁の下の力持ちとして、重要な役割を果たしています。まるで、大きな荷物を運ぶ力持ちを、もう一人追加して支えているかのようです。多くの荷物を安全に運ぶためには、道路への負担を軽減することが不可欠であり、従動輪後車軸はそのための重要な技術と言えるでしょう。
車の構造

荷台寸法を知って賢く車選び

荷物を運ぶための場所、いわゆる荷台の大きさを知ることは、車選びでとても大切です。荷台寸法とは、荷物を積む空間である荷台の奥行き、幅、高さの三辺の長さを指します。これは荷物がどれだけ積めるかを示す大切な目安となります。軽トラックやトラック、箱型の荷台を持つバンなど、荷物を運ぶことを目的とした車において、特に重要です。 荷台寸法は、通常はミリメートルもしくはセンチメートルといった単位で表されます。車を作っている会社が出しているカタログやホームページで確認することができます。車を買うことを考えているなら、前もって荷台の大きさを調べておくことが大切です。荷物の大きさと荷台の大きさを比べることで、買おうと思っている車に荷物が積めるかどうかを判断できます。 注意が必要なのは、同じ車種でも種類によっては荷台の大きさが違う場合があることです。例えば、軽トラックの場合、標準的な軽トラックの他に、荷台の高い「ハイルーフ」と呼ばれる軽トラックがあります。これらは同じ軽トラックでも荷台の大きさが違います。また、二輪駆動か四輪駆動かによっても荷台寸法が異なる場合があります。同じように、トラックやバンでも、種類によって荷台の寸法は様々です。そのため、運びたい荷物の大きさを前もってきちんと把握し、それに合う荷台の大きさを持つ車を選ぶことが重要です。 さらに、荷台寸法だけでなく、荷台の形状や、荷台の床面からの高さ、扉の大きさなども荷物の積み下ろしに影響を与える大切な要素です。例えば、荷台に段差があったり、床面が高いと荷物の積み下ろしが難しくなります。また、扉の開口部が狭い場合は大きな荷物が入れにくくなります。これらの点も考慮に入れて、自分の用途に合った車を選びましょう。 荷台寸法は、カタログやホームページで確認できるだけでなく、販売店に見に行って実物で確認することも可能です。実物を見ることで、数字だけでは分かりにくい荷台の形状や使い勝手などを実際に確かめることができます。特に大きな荷物や特殊な形状の荷物を運ぶ予定がある場合は、実物を見て確認することをおすすめします。
安全

荷重感知で最適ブレーキ!Gセンシングプロポーショニングバルブとは?

車は、私たちの生活に欠かせない移動手段ですが、安全に運転するために最も大切な要素の一つが『止まる』性能、つまりブレーキ性能です。どんなに高性能な車でも、意図した場所で確実に止まれない車は安全とは言えません。特に、旅行や引っ越しなどで荷物をたくさん積んでいる時は、ブレーキの効き方に注意が必要です。 普段と同じようにブレーキペダルを踏んでも、荷物が重ければ重いほど、車はなかなか止まりません。これは、車が動き続ける力(運動エネルギー)が、荷物の重さによって増えるためです。重い荷物を積んだ車は、まるで巨大な岩が転がるように、大きな運動エネルギーを持っており、それを抑えるには、より強いブレーキ力が必要になります。 もし、荷物の重さに関係なく、同じブレーキ力で急ブレーキをかけるとどうなるでしょうか?最悪の場合、タイヤがロックしてしまい、車は制御を失ってしまいます。特に雨の日や、雪道など、路面が滑りやすい状況では、スリップ事故につながる危険性が高まります。 このような危険を防ぐために、現代の車には様々な安全装置が搭載されています。その一つが、『荷物の重さを感知してブレーキ力を調整する仕組み』です。これは、『Gセンシング比例弁』と呼ばれる装置で実現されています。 Gセンシング比例弁は、車にかかる重力の変化を感知するセンサーです。車が平らな道を走っている時と、坂道を登っている時では、車にかかる重力の大きさが変化します。また、荷物をたくさん積んだ時にも、車にかかる重力は大きくなります。この重力の変化を敏感に捉え、Gセンシング比例弁は、後輪にかかるブレーキ力を自動的に調整します。荷物が重いほど、後輪ブレーキの効きを強くすることで、車体が安定し、安全に停止できるようになっています。 このように、目に見えないところで、様々な技術が私たちの安全を守ってくれています。しかし、どんなに優れた技術でも、安全運転の基本である『スピードの出し過ぎに注意する』『車間距離を十分に取る』ことを忘れてはいけません。安全装置はあくまでも補助的なものです。ドライバー自身の心がけと、安全運転への意識こそが、事故を防ぐための最大の武器なのです。