空気流量計

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エンジン

今は昔、板状センサーの話

自動車の心臓部であるエンジンは、ガソリンを燃焼させることで動力を生み出します。この燃焼を効率良く行うためには、適切な量の空気をエンジン内部に送り込むことが必要不可欠です。空気の量が少なすぎると、ガソリンが完全に燃焼せず、力が十分に出ません。逆に、多すぎると、排出ガスに有害な物質が増えてしまいます。そこで、エンジンに吸い込まれる空気の量を正確に計測する装置が必要となります。それが、吸気量の計測装置、空気流量計です。 様々な種類の空気流量計が存在しますが、かつて主流だった装置の一つに、「羽根式空気流量計」というものがありました。これは、空気の通り道に小さな羽根車を設置し、吸い込まれる空気によって羽根車が回転する様子を計測することで、空気の量を測る仕組みです。空気の量が多いほど羽根車は速く回転し、その回転速度に基づいて吸気量が算出されます。この羽根式空気流量計は、構造が単純であるため、製造費用を抑えることができました。また、空気の流れを直接的に計測するため、比較的正確な値を得ることができました。 しかし、羽根式空気流量計には、いくつかの欠点もありました。羽根車が空気の通り道に設置されているため、空気抵抗が発生し、エンジンの性能をわずかに低下させる可能性がありました。また、羽根車は汚れや摩耗によって劣化しやすく、定期的な清掃や交換が必要でした。さらに、空気の流れの変化に対する反応速度が遅いため、急激なアクセル操作に正確に対応できないこともありました。これらの欠点を克服するために、近年では、より精密で耐久性の高い熱線式空気流量計などの新しい計測装置が主流となっています。技術の進歩は、エンジンの性能向上に欠かせない吸気量の計測技術にも、常に進化をもたらしています。