滑らかな走りを実現する縁の下の力持ち
車の心臓部であるエンジンは、様々な金属部品が複雑に組み合わさって動いています。これらの部品がスムーズに動くためには、潤滑油であるエンジンオイルが不可欠です。エンジンオイルは、部品同士の摩擦を減らし、摩耗を防ぐだけでなく、エンジン内部を冷却する役割も担っています。
しかし、エンジンオイルは温度によって粘度が変化するという性質を持っています。夏場の炎天下のように高温になると、オイルはサラサラになり粘度が下がります。逆に、冬の厳しい寒さの中では、オイルはドロドロになり粘度が上がります。粘度が低すぎると、油膜が薄くなり金属部品同士が直接接触してしまい、摩耗や損傷の原因となります。一方、粘度が高すぎると、オイルが固まりエンジン内部の抵抗が大きくなり、エンジン始動が困難になるばかりか、オイルの循環が悪くなって十分な潤滑効果が得られなくなります。
このような問題を防ぐため、エンジンオイルには粘度指数向上剤というものが添加されています。粘度指数向上剤は、温度による粘度の変化を少なくする働きがあります。高温時にはオイルの粘度が下がりすぎるのを抑え、低温時にはオイルが固まるのを防ぎます。これにより、広い温度範囲で安定した粘度を保ち、エンジンを最適な状態で保護することが可能になります。
エンジンオイルの粘度は、様々な温度条件下で適切な潤滑性能を発揮するために重要な要素です。粘度指数向上剤の働きにより、真夏の酷暑から真冬の極寒まで、一年を通して安心して車を使用することができるのです。