終減速歯車

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駆動系

終減速歯車の役割と仕組み

車は走るために、エンジンの力をタイヤに伝える必要があります。この力の伝達経路の中で、終減速歯車は重要な役割を担っています。終減速歯車は、エンジンの回転力をタイヤに伝える最終段階にある歯車装置です。エンジンが発生させる回転力は非常に速いため、そのままタイヤに伝えると、車は急発進してしまい制御が難しくなります。また、坂道では十分な力が得られず、登ることができません。そこで、終減速歯車が登場します。 終減速歯車は、回転数を減らしつつ、同時にトルクと呼ばれる回転させる力を増幅させます。つまり、エンジンの速い回転を、タイヤが回るのに適した速度に変換し、大きな力を生み出す働きをしています。このおかげで、車は滑らかに発進し、力強く坂道を登ることができるのです。 終減速歯車の内部には、複数の歯車が組み合わされています。代表的な構造として、かさ歯車と呼ばれる円錐形の歯車を組み合わせたものがあります。このかさ歯車は、プロペラシャフトから伝わる回転力を90度方向転換し、駆動輪に伝える役割も同時に果たしています。また、終減速比と呼ばれる数値があり、これは入力側の回転数と出力側の回転数の比を表しています。この比が大きいほど、トルクが増幅されます。例えば、終減速比が31の場合、入力軸が3回転する間に、出力軸は1回転します。この時、出力軸のトルクは入力軸のおよそ3倍になります。 終減速歯車は、車の走行性能に大きな影響を与える重要な部品といえます。この歯車のおかげで、私たちは快適に車を運転することができるのです。
駆動系

ハイポイドギヤ:静かで力強い駆動の秘密

後輪駆動の車は、エンジンが生み出した力をタイヤへと送り届けることで走ります。その力の伝達において、終減速歯車は欠かせない部品です。後輪駆動の車では、この終減速歯車としてハイポイドギヤという仕組みが広く使われています。 ハイポイドギヤは、エンジンの回転する力を伝える駆動軸と、車輪につながる車軸の間に位置しています。ハイポイドギヤは、二つの軸がずれた状態でかみ合うように設計されています。この軸のずれによって、駆動軸から車軸へ回転する力を伝える際に、回転の方向を変えながら速度を落とす減速と大きな力を生み出す増力の働きを同時に行うことができます。 ハイポイドギヤによる減速は、エンジンの高速回転を車輪の回転速度に合わせるために必要です。エンジンの力はそのままでは車輪を回すには速すぎ、力も足りないからです。ハイポイドギヤによって回転数を減らしつつ大きな力に変換することで、静かで滑らかな発進と力強い加速を両立することができるようになります。 また、ハイポイドギヤの軸のずれは、車体の重心を低くすることにも貢献します。駆動軸を車軸より低い位置に配置できるため、車全体の重心が下がり、走行安定性が向上するのです。 このように、ハイポイドギヤは、単に回転を伝えるだけでなく、速度と力の調整、そして車体の安定性にも大きく関わっています。後輪駆動の車の快適な乗り心地と力強い走りを支える、まさに心臓部と言える重要な部品なのです。