車の素材と熱膨張
物は温められると大きくなり、冷やされると小さくなります。これを熱膨張といいます。固体、液体、気体、どんなものでもこの性質を持っています。特に、固体の熱膨張は、車などの機械を作る上でとても大切です。
温度が変わると、材料が伸びたり縮んだりします。すると、部品同士の隙間が変わったり、部品が歪んだりして、機械全体がうまく動かなくなることがあります。例えば、夏の暑い日に車を外に置いておくと、車体や機械部分は熱くなります。熱くなった部分は膨張し、大きくなります。反対に、冬の寒い日には、これらの部分は冷えて縮み、小さくなります。
このような変化を考えずに車を作ると、部品が壊れたり、うまく動かなくなったりすることがあります。
例えば、橋を作るとき、橋げたは夏に伸び、冬に縮むことを考えて、あらかじめ隙間を作っておきます。もし隙間がないと、橋げたが伸び縮みする際に、橋全体に大きな力が加わり、壊れてしまうかもしれません。
車も同じです。車のエンジンは、動いているときはとても熱くなります。エンジンの部品は様々な金属でできており、それぞれの金属は異なる熱膨張率を持っています。つまり、温度変化による伸び縮みの割合が金属によって違います。この違いを考慮せずにエンジンを設計すると、部品同士が干渉したり、隙間が大きくなりすぎてオイル漏れを起こしたりする可能性があります。
車を作る人は、使う材料がどれくらい膨張するかをきちんと調べて、適切な設計をしなければなりません。例えば、異なる金属を組み合わせる場合は、熱膨張率の近い材料を選ぶ、あるいは部品の形状を工夫することで、熱膨張による影響を最小限に抑える必要があります。このように、熱膨張への対策は、安全で快適な車を作る上で欠かせない要素なのです。