タイヤの性能を決めるトレッドコンパウンド
自動車のタイヤに使われているゴムは、ただ単にゴムの木から採取した樹液を固めたものではありません。様々な材料を混ぜ合わせて作られた合成ゴムです。このゴムの組み合わせや割合(配合)をゴム配合と言い、タイヤの性能を大きく左右します。タイヤのゴムは、主に高分子と呼ばれる鎖状につながった分子からなる基材ゴム、補強材、そして様々な薬品類を混ぜ合わせて作られています。
基材ゴムは、タイヤの骨格となる重要な部分です。この基材ゴムの種類によって、タイヤの基本的な性質が決まります。例えば、天然ゴムは、しなやかで、路面への密着性が高いという特徴がありますが、耐摩耗性や耐熱性には劣ります。一方、合成ゴムには様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。例えば、スチレンブタジエンゴムは耐摩耗性に優れ、ブタジエンゴムは低温特性に優れています。タイヤにはこれらのゴムを目的に合わせて配合することで、様々な性能を両立させています。
補強材は、ゴムの強度や耐久性を高めるために加えられます。代表的な補強材としては、カーボンブラックやシリカが挙げられます。カーボンブラックは、ゴムの強度や耐摩耗性を高める効果が高く、タイヤの転がり抵抗を低減させる効果も期待できます。シリカは、ウェットグリップ性能を高める効果が高く、燃費性能の向上にも貢献します。これらの補強材を適切に配合することで、タイヤの様々な性能を向上させることができます。
薬品類は、ゴムの加硫や老化防止などの役割を担います。加硫とは、ゴムに硫黄などを加えて加熱することで、ゴムの分子構造を変化させ、弾性や強度を高める処理のことです。老化防止剤は、ゴムの劣化を防ぎ、タイヤの寿命を延ばすために添加されます。これらの薬品類も、タイヤの性能に大きな影響を与えます。
このように、タイヤのゴムは、様々な材料を精密に配合することで作られています。それぞれの材料の特性を理解し、最適な配合を追求することで、高性能なタイヤが実現するのです。