自動車を支えた団体:自工振
時は昭和三十三年、日本の復興が進む中、未来の基幹産業となる自動車産業の発展を期して、自動車工業振興会(自工振)が設立されました。この団体は、単一の企業ではなく、当時の自動車産業を支える主要な四つの団体が協力して作り上げた組織です。その四団体とは、完成車メーカーが集う日本自動車工業会、部品メーカーで構成される日本自動車部品工業会、車体製造を担う日本自動車車体工業会、そして自動車製造に必要な機械や器具を作る企業が集まる日本自動車機械器具工業会です。設立当初から、百十四社もの企業が名を連ね、産業界全体で自動車産業の発展を後押ししようという強い意志が感じられます。
自工振の設立目的は、自動車産業全体の振興にありました。その実現のために、様々な活動に精力的に取り組みました。自動車の技術向上を図るための研究開発支援や情報共有、国内市場の活性化のみならず、輸出を促進するための市場拡大への取り組み、そして国際的な技術交流や協力関係の構築といった国際交流の促進です。これらの活動は多岐にわたり、自動車産業のあらゆる側面を網羅していました。そして、自動車メーカー、部品メーカー、車体メーカー、機械器具メーカーといった産業全体の連携を強化することで、より大きな力を生み出し、日本の自動車産業が世界市場で競争力を持ち、世界的な地位を築く礎を築く上で、大きな役割を果たしたと言えるでしょう。