自動車試験

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車の開発

悪路走行でクルマのタフさを試す

車を作る会社では、販売する前に様々な試験を欠かさず行います。数ある試験の中でも、悪路走行耐久試験は、車の頑丈さを確かめるための極めて重要な試験です。これは、平らに舗装された道路ではなく、でこぼこ道や砂利道など、舗装されていない道路を想定した環境で車に走り続けてもらい、車体や衝撃を吸収する部品などが壊れないかを調べる試験です。 具体的には、試験用のコースに人工的に様々な悪路を再現し、そこで車を長時間走らせます。でこぼこ道だけでなく、砂利道や水たまり、大きな石が転がる道なども再現し、人が運転する場合と自動で運転する場合の両方を想定して試験を行います。試験中は、車に取り付けたセンサーで様々なデータを集めます。衝撃の大きさや部品にかかる負担、振動の様子などを細かく記録し、後で詳しく分析します。そして、部品の劣化具合や損傷の有無を念入りに確認します。想定外の不具合や破損が発見された場合は、設計変更を行い、再度試験を実施します。 この試験は、開発の段階で想定される様々な走行条件を再現することで、車が顧客の期待に応える耐久性を持っているかを確認するために実施されます。例えば、山道など、舗装されていない道を頻繁に走る人が顧客層に含まれる場合、悪路走行耐久試験は特に重要になります。過酷な環境での試験結果を分析することで、設計上の弱点や改善点を洗い出し、より信頼性の高い車作りに役立てています。こうして、安全で安心して乗れる車を提供することに繋げているのです。
車の開発

車の総合評価:万能試験路

車を試すための道には、色々な種類があります。大きく分けて、速さを試す道、曲がり方を試す道、乗り心地を試す道、滑りやすさを試す道、凸凹道を試す道などがあります。 速さを試す道は、高速周囲路と呼ばれ、高い速度で長い時間走り続けることで、速さや安定性を確かめます。まるで大きな丸い輪のような形をしています。ここで、高い速度での車の安定性や燃費、風切り音などを調べます。 曲がり方を試す道には、旋回試験路や屈曲路があります。旋回試験路は、大きな円を描いた道で、どれくらい速く曲がれるかを試します。一方、屈曲路は、実際の道の曲がりくねった様子を再現した道で、より実走行に近い状態で車の動きを確かめることができます。 乗り心地を試す道は、乗り心地路と呼ばれ、わざと路面に小さな凸凹を付けて、乗っている人の揺れや振動を測ります。この道で、どれくらい快適に過ごせるかを調べ、乗り心地の良さを目指します。 滑りやすさを試す道は、低μ路と呼ばれ、摩擦力の少ない、滑りやすい路面を人工的に作り出した道です。雨の日や凍結した道など、滑りやすい状況での車の安全性を確かめます。ブレーキの効き具合や、車が滑り出した時の制御装置の働きなどを細かく調べます。 凸凹道を試す道は、不整地路と呼ばれ、石ころや穴ぼこなど、荒れた路面を再現した道です。このような道での車の耐久性や走破性を試します。 これらの道は、車のそれぞれの性能を細かく調べるためにはとても役に立ちます。しかし、実際に私たちが車を走らせる時は、速さ、曲がり方、乗り心地、路面の状況など、様々な要素が複雑に絡み合っています。それぞれの性能がいくら良くても、それらがうまく組み合わさって働かなければ、快適な運転はできません。つまり、色々な道を走ることを想定し、それぞれの性能をバランス良く高めることが、本当に良い車を作る上で重要なのです。
安全

衝突安全を守る: 人体ダミーの進化

衝突する車の安全性を確かめる上で、なくてはならないのが人体模型です。人体模型は、まるで生きている人間の代わりに衝突実験に使われ、何度も繰り返し使える測定器の役割を担っています。人体模型は、ただの人形ではありません。衝突の際の衝撃が人体にどんな影響を与えるかを測るために、とても精密に作られています。 人体模型の中には、加速度を測る計器や荷重を測る計器など、様々な種類の計測器が組み込まれており、衝突した時の様々なデータを集めます。これらのデータは、車の安全性をより高くするために役立てられます。例えば、衝突時にどれだけの力が人体にかかるのか、どの部分が最も大きな衝撃を受けるのかなどが分かります。これらの情報に基づいて、車の設計や安全装置の開発が行われます。 人体模型の体の各部分は、人間の骨や筋肉、内臓などの動きを模倣するように設計されています。例えば、頭部は脳の動きを、胸部は肋骨や肺の動きを模倣しています。これにより、衝突時に人体がどのように損傷を受けるかをより正確に予測することができます。また、人体模型には様々な種類があり、男性や女性、子供など、様々な体格や年齢の模型が用意されています。これにより、それぞれの体格に合わせた安全対策を講じることが可能になります。 人体模型が登場したことで、より安全な車を作るための技術開発は大きく進歩しました。衝突実験の様子は、テレビや情報通信網などで見る機会も多いでしょう。人体模型が激しく揺さぶられる様子は衝撃的ですが、これのおかげで私たちは安全な車に乗ることができるのです。人体模型は、私たちの安全を守る陰の立役者と言えるでしょう。