自立航法

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カーナビ

カーナビ進化の歴史と未来

自動車の道案内装置、通称カーナビは、今ではほとんどの車に備え付けられているなくてはならない装置の一つです。その歴史は1981年、日本の自動車会社であるホンダが世界で初めて自動車に搭載できる実用的な道案内装置を開発したことに始まります。この装置は、回転する独楽の性質を利用した「独楽方式」と呼ばれる方法で、自車の位置と向きを調べていました。独楽の回転軸は、外からの力を受けない限り向きを変えません。この性質を利用して、自動車の動きによる独楽の軸の傾きを測定することで、どの方向にどれだけ進んだかを計算していたのです。 しかし、この独楽方式には弱点がありました。独楽はわずかな振動や温度変化の影響を受けてしまうため、走行中に誤差が少しずつ積み重なっていき、正確な位置を把握し続けるのが難しかったのです。また、当時の装置は現在のように道路地図を画面に表示するのではなく、音声で運転手に道案内を行う方式でした。そのため、運転手は音声案内を聞きながら、地図帳と照らし合わせながら運転しなければならず、使い勝手が良いとは言えませんでした。 さらに、この装置は非常に高価で、販売価格が約30万円もしました。これは当時の一般的な乗用車の価格に匹敵するほどの値段でした。そのため、ごく一部の限られた人しか利用することができなかったのです。 それでも、見知らぬ土地での運転を助けてくれるという画期的な技術であったため、人々の注目を集めました。そして、カーナビの歴史の始まりとなりました。まさに自動車の発展における革新的な一歩だったと言えるでしょう。
カーナビ

進化する車の位置把握技術

車は、目的地まで安全かつ確実に人を運ぶために、自身の位置を正しく知らなければなりません。このための技術は大変重要で、日々進歩しています。かつては、カーナビゲーションシステムの多くが、空にある人工衛星からの信号を使う衛星測位システムに頼っていました。これは、一般的には全地球測位システムと呼ばれているものです。しかし、このシステムには弱点がありました。高い建物や地下道などでは、衛星からの信号が届きにくく、現在位置を示す情報が不正確になることがあったのです。この問題を解決するために、衛星からの信号がなくても正しく位置を把握できる技術が必要となりました。 近年では、この課題を克服するために、様々な装置を組み合わせる方法がとられています。例えば、車輪の回転数を利用して移動距離を測る装置や、進行方向の変化を捉える装置などを組み合わせ、衛星測位システムの欠点を補うのです。さらに、道路にある白線や標識などの情報をカメラで読み取り、地図と照らし合わせることで位置を特定する技術も開発されています。これらの技術を組み合わせることで、衛星からの信号が弱い場所でも、より正確な位置情報を得ることが可能になりました。 こうした位置を知る技術の向上は、単にカーナビゲーションシステムの精度を上げるだけでなく、車の自動運転技術の発展にも大きく貢献しています。自動で走る車は、周囲の状況を正しく認識し、自分の位置を精密に把握することが不可欠です。より高度な位置情報技術は、安全で快適な自動運転を実現するための重要な役割を担っており、今後の自動車技術の発展に欠かせない要素と言えるでしょう。