艤装

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車の生産

クルマの艤装工程:完成車への道のり

くるまを作る上で、艤装(ぎそう)とは、骨組みだけの車体に様々な部品を取り付けて、完成車に近づける作業のことです。いわば、人の体に例えるなら、骨格に筋肉や臓器、皮膚を取り付けていくような工程と言えるでしょう。この艤装という工程なしには、くるまは動きませんし、快適性も安全性も確保されません。まさに、くるま作りにとって心臓部とも言える工程なのです。 まず、運転席や助手席には、シートが取り付けられます。シートは、単に座るためだけの部品ではなく、乗る人の体格や好みに合わせて細かく調整できるようになっています。長時間の運転でも疲れにくい構造や素材が採用され、快適な乗り心地を提供してくれます。また、運転操作の中心となるハンドルもこの工程で取り付けられます。ハンドルの形状や素材、そして操作性も、安全運転に直結する重要な要素です。 次に、速度計や回転計、燃料計、水温計などの計器類をまとめた計器盤が取り付けられます。計器盤は、運転に必要な情報を一目で確認できるように配置され、安全運転を支援する重要な役割を担います。さらに、車体を守るバンパーや夜道を照らす前照灯、後続車に進行方向を伝える後部標識灯なども取り付けられます。これらの部品は、安全性を確保するための重要な役割を担っています。 その他にも、内外装部品、電気配線、エンジン、動力伝達装置など、数え切れないほどの部品が、この艤装工程で車体に組み込まれていきます。それぞれの部品が正しく取り付けられ、互いに連携することで、初めてくるまとして機能するのです。そして、無機質な車体は、私たちが街中で見かける、個性豊かな様々なくるまへと姿を変えていくのです。