鋳型の上枠:その役割と重要性
金属を溶かして型に流し込み、冷え固めて形を作る鋳造。この作業でなくてはならないのが鋳型です。鋳型は、ちょうどお菓子作りで使う型のようなもので、作りたい形を空洞にくり抜いたものです。そして、この鋳型には上型と下型という二つの部分があります。
この上型をしっかりと固定し、ずれや浮き上がりを防ぐために使われるのが鋳型の上枠です。上枠は、いわば上型の入れ物。上型をこの枠の中に設置することで、鋳造時に溶けた金属を流し込んでも上型が動かないようにしっかりと固定します。
もし上枠が無かったらどうなるでしょうか。高温で溶けた金属を流し込むと、その重さや圧力によって上型が動いてしまうかもしれません。上型が少しでも動いてしまうと、溶けた金属が隙間から漏れ出てしまったり、せっかくの鋳物の形が歪んでしまったりする大きな問題が発生します。
上枠を作る材料は、鋳鉄や鋼鉄などの丈夫な金属が選ばれます。溶けた金属の熱や圧力に耐えられるだけの強度が必要だからです。大きさも、固定する上型よりも少し大きめに作られます。これは、上型をしっかりと固定するためです。枠と上型の間に隙間があると、上型が動いてしまう可能性があります。
さらに、上枠には溶けた金属を流し込むための注ぎ口や、鋳型の中の空気を外に出すための通気孔なども作られます。これらは、より質の高い鋳物を作るための工夫です。このように、一見地味な存在である上枠ですが、鋳造工程において重要な役割を果たしているのです。