クルマの出自を解き明かす:世界製造業者識別コード
自動車には、世界共通の車両識別番号(VIN)が付与されています。これは、いわば自動車の戸籍謄本のようなもので、自動車の製造国、製造会社、車種、製造年など、様々な情報が詰まっている重要な番号です。このVINの最初の3桁が世界製造業者識別コード(WMI)と呼ばれ、自動車の出自を明らかにする重要な鍵となります。
WMIは、世界各国で自動車を生産する会社に割り当てられた3桁の記号で、どの桁もローマ字または数字で表されます。最初の1桁目は製造国を表し、日本の場合は「J」で始まります。続く2桁目は製造会社を表すコードです。例えば、トヨタ自動車であれば「TM」、日産自動車であれば「JN」といった具合に、各会社に固有のコードが割り当てられています。
ただし、同じ会社であっても、製造工場の場所によって異なるWMIが割り当てられる場合もあります。これは、製造工場ごとに異なる生産ラインや部品が使われている可能性があるためです。また、製造会社が合併や買収などによって組織変更した場合にも、WMIが変更されることがあります。
WMIを読み解くことで、どの国のどの会社が製造した自動車なのかを特定できるのです。例えば、WMIが「JTM」で始まる自動車であれば、日本でトヨタ自動車が製造した自動車であることが分かります。このように、WMIは自動車のグローバルな身分証明書と言えるでしょう。WMIは中古車売買や部品交換の際にも重要な役割を果たします。中古車を購入する際には、WMIを確認することで、その自動車の製造国や製造会社を正確に把握することができます。また、部品交換の際にも、WMIを参考に適切な部品を選択することができます。WMIは、自動車の履歴を辿る上で欠かせない情報源なのです。