車の構造

記事数:(1)

車の構造

車のドア:両開き式の謎を解く

自動車の扉の開閉方式は、時代と共に変化を遂げてきました。主流となっている前方に開く方式以外にも、様々な形式が存在し、その一つに観音開きがあります。観音開きとは、左右の扉が中央から外側に向かって開く方式で、まるで観音様が扉を開くように見えることから、その名が付けられました。 観音開きは、歴史を振り返ると、かつては高級車やスポーツカーで多く採用されていました。ゆったりとした乗り降りができ、高級感を演出できることがその理由でした。扉を開いた際の見た目も美しく、人目を引く存在感を放ちます。しかし、観音開きには、狭い場所での乗り降りが難しいという欠点も存在します。扉の全長が長いため、左右に十分な空間がないと、扉を完全に開くことができません。このため、一般の乗用車への普及は限定的でした。 近年、再び観音開きが注目を集めるようになってきました。その背景には、実用性を重視した車種への採用があります。例えば、後部座席への乗降性を向上させるために、前後の扉が繋がる観音開きが採用されています。前方の扉を開くと、後方の扉も同時に開き、後部座席へのアクセスが容易になります。これは、チャイルドシートの利用や荷物の積み下ろしに大変便利です。また、柱のない広い開口部が確保できるため、車椅子利用者にとっても利便性が高いと言えるでしょう。 このように、観音開きはその独特の形状から、高級感の演出と実用性の両立という、相反する要素を併せ持つ扉の開閉方式と言えます。技術の進歩により、今後ますます進化していくことが期待されます。