車軸懸架

記事数:(2)

車の構造

重ね板ばね:トラックやバスを支える技術

重ね板ばねは、板状のばねを複数枚重ね合わせたサスペンション装置です。主にトラックやバスといった重量のある車に使われています。一枚一枚の板ばねは、木の葉のような形をしていることから「葉っぱばね」とも呼ばれます。この葉っぱばねを長さを少しずつ変えながら重ね合わせることで、重ね板ばねを作っています。 なぜ長さを変える必要があるのでしょうか。それは、車に荷物が積まれた時、荷重を均等に分散させるためです。もし全ての葉っぱばねの長さが同じだと、一番下のばねだけに大きな力が集中してしまいます。しかし、長さを変えることで、荷重がかかった際にそれぞれの葉っぱばねがしなることで、全体で効率よく力を分散できるのです。この仕組みによって、重ね板ばねは大きな荷重にも耐えることができるのです。 重ね板ばねの中心には「芯金」と呼ばれる太いボルトがあります。この芯金は、葉っぱばね全体をしっかりと固定する役割を担っています。また、葉っぱばね同士がずれないように、「留め金」と呼ばれる部品も使われています。留め金は、葉っぱばねを束ねて一体化させることで、重ね板ばね全体の強度を高めています。 このように、重ね板ばねは、単純な構造でありながら、大きな荷重を支えるという重要な役割を果たしています。葉っぱばねの長さを変える工夫や、芯金と留め金による固定によって、高い耐久性と安定性を実現しています。そのため、重量のある車を安全に走らせるためには欠かせない部品と言えるでしょう。
駆動系

駆動しない車軸:デッドアクスルの役割

動く力を持たない車軸、それが「死んだ車軸」という意味を持つデッドアクスルです。文字通り、エンジンの力は伝わりません。しかし、ただ車輪を支えているだけではありません。車体の重さをしっかりと地面に伝え、安定した走行を助ける重要な役割を担っています。縁の下の力持ちという言葉がぴったりです。 例えば、前輪で地面を蹴って進む前輪駆動の車の場合、後輪はデッドアクスルです。反対に、後輪で地面を蹴って進む後輪駆動の車では、前輪がデッドアクスルになります。四輪駆動の車でも、常に四つの車輪全てにエンジンの力が伝わるわけではありません。走る場所の状態に合わせて、二つの車輪だけに力を送る車もあります。こういう車の場合、力が伝わらない二つの車軸はデッドアクスルになります。 デッドアクスルには、車輪の位置を定め、車体を支えるという大切な仕事があります。もしデッドアクスルがなければ、車は安定して走ることができません。左右に揺れたり、傾いたりしてしまいます。また、乗り心地にも大きく影響します。デコボコ道を走る時、デッドアクスルが衝撃を吸収してくれるので、乗っている人は快適に過ごせるのです。 このように、デッドアクスルは駆動方式に関わらず、全ての車に必要不可欠なものです。普段は目に見えない場所で車の安定性と快適性を支える、重要な部品なのです。車の種類や、エンジンの力を伝える仕組みによって、デッドアクスルの役割も少しずつ変わります。しかし、車輪を支え、車体を安定させるという、その根本的な役割は変わりません。