重ね板ばね:トラックやバスを支える技術
重ね板ばねは、板状のばねを複数枚重ね合わせたサスペンション装置です。主にトラックやバスといった重量のある車に使われています。一枚一枚の板ばねは、木の葉のような形をしていることから「葉っぱばね」とも呼ばれます。この葉っぱばねを長さを少しずつ変えながら重ね合わせることで、重ね板ばねを作っています。
なぜ長さを変える必要があるのでしょうか。それは、車に荷物が積まれた時、荷重を均等に分散させるためです。もし全ての葉っぱばねの長さが同じだと、一番下のばねだけに大きな力が集中してしまいます。しかし、長さを変えることで、荷重がかかった際にそれぞれの葉っぱばねがしなることで、全体で効率よく力を分散できるのです。この仕組みによって、重ね板ばねは大きな荷重にも耐えることができるのです。
重ね板ばねの中心には「芯金」と呼ばれる太いボルトがあります。この芯金は、葉っぱばね全体をしっかりと固定する役割を担っています。また、葉っぱばね同士がずれないように、「留め金」と呼ばれる部品も使われています。留め金は、葉っぱばねを束ねて一体化させることで、重ね板ばね全体の強度を高めています。
このように、重ね板ばねは、単純な構造でありながら、大きな荷重を支えるという重要な役割を果たしています。葉っぱばねの長さを変える工夫や、芯金と留め金による固定によって、高い耐久性と安定性を実現しています。そのため、重量のある車を安全に走らせるためには欠かせない部品と言えるでしょう。