車の安全性と利便性を支えるパッケージトレイ
荷室と客室を隔てる板、荷室棚は、一見すると単なる仕切り板のように見えますが、実は車における安全性と利便性を大きく左右する重要な役割を担っています。
まず、安全面における荷室棚の役割は大変重要です。交通事故の際、急ブレーキや衝突によって荷室に積まれた荷物が前方に飛び出し、乗員に危害を加える危険性があります。荷室棚はこのような事態を防ぎ、乗員を荷物から守る盾の役割を果たします。特に後部座席に人が座っている場合、荷室棚は安全確保のために不可欠な存在と言えるでしょう。また、追突された際にも、荷物が客室に侵入するのを防ぎ、乗員の安全を守ります。
次に、利便性という観点からも、荷室棚は重要な役割を果たしています。荷室棚があることで、荷室に積まれた荷物が外から見えにくくなり、盗難防止に役立ちます。また、日差しが強い日には、荷室に積んだ荷物が直射日光にさらされるのを防ぎ、劣化を防ぐ効果も期待できます。さらに、荷室棚の下に収納スペースが設けられている車もあり、車検証や工具などの小物を収納するのに便利です。普段は見えない場所に荷物を収納できるため、車内を整理整頓し、すっきりとした印象を保つことができます。
さらに、一部の車種には荷室棚にトランクスルー機能が備わっているものもあります。これは、荷室棚の一部または全体を開口できる機能で、スキー板や釣り竿などの長尺物を運ぶ際に大変便利です。通常、長尺物を運ぶ際は後部座席を倒す必要がありますが、トランクスルー機能を使えば、後部座席を倒さずに長尺物を積載することが可能になります。そのため、多人数乗車時でも長尺物を運ぶことができ、利便性が飛躍的に向上します。
このように、荷室棚は単なる仕切り板ではなく、安全性を確保し、利便性を向上させる多機能な部品と言えるでしょう。普段はあまり意識されることはありませんが、私たちの安全で快適なドライブを支える縁の下の力持ち的存在なのです。