速度型機関:速さから生まれる力
熱機関とは、熱の力を機械の動きに変える装置のことです。この熱機関には、大きく分けて二つの種類があります。一つは容積型機関、もう一つは速度型機関です。
まず、容積型機関について説明します。容積型機関は、作動流体と呼ばれる気体や液体の体積が変化する力を利用して、ピストンという部品を動かします。このピストンの動きが、最終的に動力を生み出します。身近な例としては、自動車のエンジンであるガソリン機関や軽油機関が挙げられます。これらの機関は、筒状の部品である機関筒の中で燃料を爆発的に燃焼させ、その燃焼による圧力でピストンを上下に動かします。ピストンの上下運動は、クランク軸という部品を回転させる力に変換され、これが自動車の動力となります。ガソリン機関と軽油機関は、燃料の種類や点火方法が異なりますが、どちらも燃焼による体積変化を利用して動力を発生させるという点で共通しています。
次に、速度型機関について説明します。速度型機関は、作動流体の速度変化を利用して動力を発生させます。高温高圧の作動流体を噴射口から勢いよく噴出させることで、大きな速度のエネルギーを生み出します。この高速の作動流体が羽根車にぶつかると、羽根車が回転し、その回転運動が動力となります。飛行機の噴射機関や蒸気タービンなどが、速度型機関の代表例です。これらの機関は、連続的に作動流体を噴出させることができるため、大きな動力を得ることができます。また、噴射口の向きを変えることで、飛行機の進行方向を制御することも可能です。このように、容積型機関と速度型機関は、それぞれ異なる仕組みで熱の力を機械の動きに変換しています。どちらの機関も、私たちの生活を支える上で重要な役割を担っています。