鉄道車両

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駆動系

楕円ばね:古くて新しいサスペンション技術

楕円ばねは、その名の通り、半楕円の形をした薄い金属板を複数枚重ね合わせた構造を持つばねです。ちょうど、弓を半分に切ったような形をしています。この半楕円形の板は、ばね鋼と呼ばれる、特殊な熱処理によって高い弾力性と耐久性を持たせた鋼材から作られています。 重ね合わせる板の枚数は、用途によって様々です。求められる強度や柔軟性に応じて、数枚から数十枚まで重ね合わせることが可能です。板の枚数を増やすことで、より大きな荷重を支えることができます。逆に、枚数を減らすことで、よりしなやかに変形させることができます。 楕円ばねは、自動車の誕生とともに歴史を刻んできました。初期の自動車のサスペンションには、この楕円ばねが広く使われていました。現在では、自動車のサスペンションとしてはあまり見かけなくなりましたが、その頑丈さとシンプルな構造から、鉄道車両や産業機械などで重要な役割を担っています。 鉄道車両の場合、車両の重量や乗客の荷重など、非常に大きな荷重を支える必要があります。楕円ばねは、このような高荷重に耐えることができるため、鉄道車両の車軸と車体をつなぐサスペンションとして活躍しています。また、産業機械においても、プレス機や鍛造機など、大きな荷重がかかる機械で広く利用されています。 自動車のサスペンションに用いられるコイルばねや板ばねと比べると、楕円ばねは複雑な部品や機構を必要としません。そのため、整備や点検が容易であるという利点もあります。また、耐久性にも優れているため、長期間にわたって安定した性能を発揮することができます。
機能

エアブレーキの仕組みと利点

車は、止まる時にブレーキを使います。ブレーキには色々な種類がありますが、大型車などでよく使われているのが空気を使ったブレーキ、つまり空気ブレーキです。空気ブレーキは、圧縮した空気を利用してブレーキを作動させる仕組みになっています。 まず、エンジンの力で空気圧縮機という機械を動かします。これは、空気をぎゅっと圧縮する装置です。圧縮された空気は、数十リットルも入る大きなタンクに貯められます。このタンクは、圧縮空気を蓄えておくための大切な入れ物です。 ブレーキペダルを踏むと、ペダルと繋がっている弁が開きます。この弁は、タンクに貯められた圧縮空気を各車輪のブレーキへと送るための大切な部品です。各車輪にはブレーキチャンバーと呼ばれる部品が付いており、そこに圧縮空気が流れ込むと、内部の仕組みが動いてブレーキがかかります。空気の力はブレーキを動かすための力に変換されるのです。 なぜ空気を使うのかというと、大きな力が必要な大型車両のブレーキを軽く踏むだけで操作できるようにするためです。 小さな力で大きな力を生み出すことができるので、運転手は楽にブレーキをかけることができます。 空気ブレーキのシステム全体の空気の圧力は、だいたい8気圧程度に保たれています。これは、一般的な乗用車などで使われている油圧ブレーキよりもずっと高い圧力です。この高い圧力のおかげで、強力な制動力が生まれるのです。急な坂道や重い荷物を積んでいる時でも、しっかりと車を止めることができます。