電波航法

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電波で位置を知る:航法システム

電波を使った自分の位置を知る方法、それが電波航法です。電波航法には大きく分けて三つの種類があります。まず一つ目は双曲線航法です。双曲線航法は、複数の送信局から発信される電波が届くまでの時間の差を利用して位置を割り出します。陸上に設置された送信局からの電波を使うため、主に船舶や航空機で利用されてきました。遠くまで届きやすい長波や中波を使うため、天候に左右されにくいという利点があります。しかし、送信局の設置場所や電波の届く範囲に限りがあるため、利用できる地域が限られています。 二つ目は、衛星航法です。これは皆さんもよくご存知のカーナビゲーションシステムなどに使われている方法です。地球の周りを回る人工衛星からの電波を利用して位置を特定します。複数の衛星からの電波を受信することで、地球上のどこでも、かなり正確な位置を知ることができます。近年、技術の進歩により小型化が進み、携帯電話や腕時計にも搭載されるようになりました。ただし、トンネルや建物の中など、衛星からの電波が届かない場所では利用できません。 三つ目は、サインポスト法です。特定の場所に設置された送信局からの電波を使って、その地点までの距離や方角を測定する方法です。航空機の着陸時など、ピンポイントで正確な位置を知る必要がある場合に利用されます。それぞれの送信局は固有の信号を送信しており、受信機はそれらの信号を識別することで、どの方向にどのくらい離れているかを判断します。サインポスト法は、限られた範囲で非常に正確な位置情報を得ることができるため、航空機の安全な運航に欠かせない技術となっています。このように、電波航法にはそれぞれ異なる特徴を持つ三つの種類があり、目的に合わせて使い分けられています。今後ますます技術が進歩し、より正確で使いやすい電波航法が登場することが期待されています。
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双曲線航法:海の道しるべ

船が大海原を安全に航行するには、自分の位置を正確に知る必要があります。そのための技術の一つが双曲線航法です。陸上に設置された複数の電波発信基地を利用して、船の位置を割り出す仕組みです。 この航法の鍵となるのは、電波の伝わる速さと、船で受信する時刻のわずかな差です。陸上の発信基地は、それぞれ決められた時刻に電波を発信します。船は、これらの電波を受信し、発信時刻との差を計測します。電波は光と同じ速さで伝わりますから、この時間差から船と各発信基地との距離を計算できます。 しかし、一つの発信基地からの情報だけでは、船の位置を一点で特定することはできません。そこで、複数の発信基地からの電波を利用します。例えば、三つの発信基地A、B、Cからの電波を受信したとしましょう。AとBからの電波の到着時間差は一定となる場所を海図上に線で結ぶと、双曲線ができます。同じように、BとCからの電波の到着時間差で線を引くと、また別の双曲線ができます。そして、これらの双曲線が交わった点が、船の現在位置となります。 三つの発信基地を使うことで、より正確な位置が特定できるのが双曲線航法の特徴です。二つの発信基地だけでは、交わる点が二つ出てきてしまう可能性がありますが、三つ目の発信基地からの情報を使うことで、そのどちらか一方に絞り込むことができます。 このように、双曲線航法は、電波の伝わる速さと正確な時刻管理を巧みに利用して、広大な海の上で船の位置を特定する、高度な航海技術なのです。