電装品

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機能

隠れた機能美:クォーターガラスアンテナ

車の屋根から突き出た棒状の空中線は、これまで洗車の際に邪魔になるだけでなく、せっかくの車体全体の見た目も損ねてしまうという難点がありました。そこで、車の後部座席の横、後輪付近の車体上部にある小さな窓である固定窓に空中線を埋め込む技術が生まれました。この固定窓は開閉できない窓ですが、ここに空中線を埋め込むことで、車体から空中線が突き出ることをなくし、すっきりとした外観を実現しました。 この固定窓への空中線の埋め込みは、単に見た目を良くするだけでなく、様々な利点をもたらします。まず、空中線が車体の中に隠れることで、洗車の際に邪魔になることがなくなります。また、車体の表面が滑らかになるため、空気との摩擦が減り、燃費の向上にもわずかながら貢献します。空気抵抗が減ることで、走行時の風切り音も小さくなり、静粛性も向上します。 空中線の性能についても抜かりはありません。固定窓に埋め込まれた空中線は、従来の棒状の空中線と同様に、良好な受信感度を保っています。そのため、クリアな音質でラジオ放送を楽しむことができます。また、近年ではラジオ放送だけでなく、カーナビゲーションシステムやETCなどの車載機器にも空中線が必要不可欠です。固定窓に埋め込まれた空中線は、これらの機器にも対応しており、快適なドライブをサポートします。 このように、固定窓に埋め込まれた空中線は、車のデザイン性と機能性を両立させた、まさに隠れた名脇役と言えるでしょう。一見すると小さな部品ですが、車の快適性や燃費向上に貢献する重要な役割を担っています。今後、ますます多くの車種で採用されていくことが期待されます。
機能

キセノンバルブ:夜の道を照らす革新

車は、様々な部品が組み合わさって動いています。その中で、夜間の視界を確保する上で重要な役割を果たすのが前照灯です。前照灯に使われる技術の一つに、キセノン電球があります。キセノン電球は、ハロゲン電球に比べ約2倍の明るさを実現し、夜道や雨の日でも視界を良好に保ち、安全運転を支援します。 キセノン電球の仕組みは、高電圧を利用してキセノンガスを発光させるというものです。まず、電球内部にはキセノンガスとハロゲン化物が封入されています。点灯時には、約2万ボルトという高電圧が電極間に印加されます。この高電圧によって、キセノンガスが励起され、アーク放電という現象が発生します。アーク放電により、キセノンガスは青白い光を放ち始めます。同時に電球内の温度も上昇し、封入されているハロゲン化物が蒸発し、金属原子とハロゲン原子に分離します。そして、分離した金属原子が白く光り輝きます。この青白い光と白い光が混ざり合い、最終的に太陽光に近い明るく白い光が生まれます。 このキセノン電球の光は、ドライバーの視界を大幅に改善します。従来のハロゲン電球と比べて、より遠くまで見通せるようになり、夜間走行時の安心感を高めます。また、雨天時など視界が悪い状況でも、路面や周囲の状況を的確に把握できるため、安全な運転に繋がります。このように、キセノン電球は、その優れた明るさによって、ドライバーの視界を確保し、夜間や悪天候時の運転を安全にサポートする重要な役割を担っているのです。
機能

視界確保の必需品:ワイパーデアイサー

冬は厳しい寒さが車を悩ませる季節です。中でも、フロントガラスの凍結は、安全な運転を脅かす大きな問題と言えるでしょう。視界を遮る雪や氷は、ドライバーの判断を鈍らせ、事故に繋がる危険性があります。さらに、ワイパー自体が凍りついてしまうと、視界を確保する術を失ってしまいます。 このような凍結したワイパーを無理に動かそうとすると、モーターに大きな負担がかかります。ワイパーモーターは、通常、軽い力で動くように設計されていますが、凍結したワイパーを動かすには、通常以上の力が必要となります。この過剰な負荷は、モーターの寿命を縮めるだけでなく、故障の原因にもなります。最悪の場合、モーターが焼き付いて発火し、車両火災に発展する恐れもあります。 こうした冬場のトラブルを未然に防ぐために、ワイパーデアイサーの活用が有効です。ワイパーデアイサーは、熱線によってワイパーゴム周辺の氷を溶かし、凍結を防ぎます。これにより、視界を確保し、安全な運転を支援します。また、ワイパーモーターへの負担を軽減し、故障のリスクを低減します。 ワイパーデアイサー以外にも、凍結対策はいくつかあります。例えば、フロントガラスカバーは、雪や氷が直接フロントガラスに付着するのを防ぎます。また、解氷スプレーは、既に凍結してしまったフロントガラスの氷を溶かすのに役立ちます。これらの対策を組み合わせることで、より効果的に凍結を防ぎ、安全な冬場の運転を確保することができます。冬の厳しい寒さから車を守り、安全な運転を心がけましょう。
EV

電気自動車の補助電池:その役割と重要性

電気自動車には、大きな動力源である主電池とは別に、12ボルトの電圧を持つ補助電池が搭載されています。この補助電池は、ガソリン車やディーゼル車と同じように、ヘッドライトやワイパー、エアコンといった様々な電装品を動かすための大切な電力供給源です。 電気自動車の主電池は、数百ボルトにもなる高電圧のため、これらの電装品に直接電気を送ることはできません。家庭で様々な家電製品を使う際に、コンセントからそれぞれの電圧に合わせた電気を供給するのと同じように、電気自動車も主電池から電圧を変換する装置を経由して補助電池に電気を送り、そこから電装品へと供給しています。 では、補助電池がなければどうなるのでしょうか?もし補助電池がなければ、ドアの施錠・解錠ができなくなったり、各種警告灯が点灯しなくなったりと、様々な不具合が生じます。さらに、主電池の起動にも補助電池の電力が必要となるため、最悪の場合、電気自動車自体を動かすことができなくなることもあります。 電気自動車の心臓部である主電池は、言うまでもなく重要な部品です。しかし、補助電池も快適な運転や安全性を確保するために欠かせない存在です。普段はあまり意識されることはありませんが、縁の下の力持ちとして電気自動車の様々な機能を支えているのです。 補助電池は、通常の使用で3年から5年程度で寿命を迎えると言われています。寿命が近づくと、電圧が低下し、様々な不具合につながる可能性があります。そのため、定期的な点検を行い、必要に応じて交換することが大切です。快適で安全な電気自動車生活を送るためには、補助電池の存在と役割を理解し、適切な管理を心掛けることが重要です。
内装

車のプルスイッチ:知っておきたい基礎知識

ひもを引っ張るように操作する「引く」操作式の、電気を流したり止めたりする装置、それが引く操作式の開閉装置です。つまみを引くことで、装置内部の接続点が物理的につながったり、離れたりする仕組みです。この仕組みによって電気が流れ、機器が作動したり、電気が遮断され機器が停止したりします。 この引く操作式の開閉装置は、車の中で様々な機能の制御に使われています。例えば、窓を開け閉めする装置の操作が代表的な例です。つまみを引くことで窓ガラスが上下し、開閉できます。また、車種によっては、車内を照らす照明や霧の時に点灯する補助灯、危険を知らせる点滅灯の操作にも、この引く操作式の開閉装置が採用されています。 押す式の開閉装置と比べると、引く操作式の開閉装置は操作に少し力が必要です。このため、意図しない誤操作を未然に防ぐ効果があります。特に、安全性が求められる機能に用いられることが多く、窓の開閉操作を例に挙げると、閉める操作を引く操作式にすることで、子供が誤って窓を閉めてしまう事故を防止できます。引くという少し力が必要な操作を行うことで、不用意な動作を防ぎ、安全性を高めているのです。 このように、引く操作式の開閉装置は、車内で様々な場面で活躍しています。少しの力を加える操作が必要な点が、かえって安全性を高めることにつながり、重要な役割を担っていると言えるでしょう。