非常ブレーキ

記事数:(3)

安全

緊急時の頼みの綱!非常ブレーキの役割

車は、安全に移動するために様々な仕組みが備わっています。その中でも、いざという時に車を止める非常ブレーキは、安全を守る上で欠かせない大切な仕組みです。日本の工業規格では、ブレーキの働きを補助ブレーキ、非常ブレーキ、駐車ブレーキの三種類に分類しています。非常ブレーキは、緊急ブレーキとも呼ばれ、普段使っているブレーキが何らかの原因で壊れた時に、車をゆっくり走らせたり止めたりするために使います。 例えば、ブレーキを踏むための油が漏れてしまったり、ブレーキの部品が壊れてしまったりした場合、通常のブレーキは効かなくなってしまいます。このような思わぬ出来事によってブレーキが効かなくなったとしても、非常ブレーキがあれば、車を安全に止めることができます。非常ブレーキは、普段使っているブレーキとは別の仕組みで動いているため、一方のブレーキが壊れても、もう片方は使えるようになっています。 非常ブレーキの仕組みは、車の種類によって異なります。ワイヤーを使ってブレーキを直接かけるものや、油圧を使って力を伝えるもの、電気を使ってモーターを動かすものなど、様々な種類があります。どの方式であっても、非常ブレーキは、通常のブレーキよりも制動力が弱く、完全に止まるまでに時間がかかります。また、ブレーキの効き方も左右で均等ではない場合もあります。 そのため、非常ブレーキを使う時は、より慎重な運転操作が必要です。急なハンドル操作や急ブレーキは避け、周りの車や歩行者に注意しながら、ゆっくりと速度を落としていくことが大切です。非常ブレーキは、あくまでも緊急時のための備えです。日頃から車の点検整備を行い、ブレーキの故障を未然に防ぐことが最も重要です。そして、万が一、ブレーキに異常を感じた場合は、すぐに車を安全な場所に止め、専門の修理工場に点検を依頼しましょう。
機能

大型トラックのブレーキ:ウエッジ式エアブレーキ

車は安全に止まるために、ブレーキという装置を使います。その中でも、空気の力を使うブレーキを空気式ブレーキといいます。空気式ブレーキは、主に大型車やバス、トラックなどに使われています。空気式ブレーキの一つに、楔式空気ブレーキがあります。このブレーキは、空気の力を利用して、楔の働きでブレーキをかける仕組みです。 まず、運転席でブレーキペダルを踏むと、空気圧縮機で作られた空気がブレーキの部品である空気室に送られます。この空気室は、風船のように空気が入ると膨らむ袋です。空気が空気室に送られて膨らむと、その力によってブレーキの一部である制動蹄(せいていつめ)という部品が回転する太鼓の内側に押し付けられます。この制動蹄と太鼓の間で摩擦が起きることで、車の速度を落とす、つまりブレーキがかかるのです。 制動蹄を動かす仕組みは、楔のような形をしています。楔は、小さな力で大きな力を生み出すことができます。この原理を利用することで、小さな空気圧でも大きな制動力を得ることができるのです。 つまり、軽い力でブレーキペダルを踏むだけで、重い車でもしっかりと止まることができるということです。 また、駐車時や緊急時に使う駐車ブレーキや非常ブレーキの場合には、空気の力ではなく、圧縮ばねの力を使います。ばねは、押すと縮み、力を抜くと元に戻る性質を持つ部品です。普段は空気がばねを縮めた状態にしていますが、空気がなくなるとばねが元に戻り、その力で制動蹄を太鼓に押し付けます。これは、万が一、空気圧縮機が故障したり、空気が漏れたりして空気の供給が途絶えても、ブレーキが確実に作動するようにという工夫です。 このように、楔式空気ブレーキは、空気圧とばねの二つの仕組みを備え、安全性を高めているのです。
機能

外部収縮式ドラムブレーキ:仕組みと利点

外に広がる式の太鼓型止め装置は、主に大きな荷車や乗り合い馬車といった、重量のある乗り物に欠かせない仕組みです。特に、止まっている状態を保つ止めや、いざという時の止めとして活躍します。この装置の中心には、太鼓のように回転する部品があり、その外側に「止め沓」と呼ばれる摩擦を生む材料が取り付けられています。止め板を踏むと、この止め沓が回転する太鼓の外側に押し付けられます。止め沓と太鼓の間で摩擦が生じることで、乗り物の動きをゆっくりと止めます。 この仕組みは、太鼓の内側に止め沓を置く内側に広がる式とは大きく異なります。外に広がる式は、構造が分かりやすく、簡単に作ることができます。また、内側に広がる式よりも大きな止め力を出すことができるため、重い乗り物を止めるのに適しています。 具体的には、止め板を踏む力が増すと、てこの原理で止め沓を太鼓に押し付ける力も強くなります。この力が増すことで、摩擦も大きくなり、より強力な止め効果を発揮します。さらに、外に広がる式は、自己倍力作用と呼ばれる特徴も持ちます。これは、回転する太鼓が止め沓を引っ張ることで、止め力がさらに増幅される現象です。この自己倍力作用により、少ない踏力で大きな止め力を得ることが可能になります。 しかし、外に広がる式は、内側に広がる式に比べて放熱性が劣るという欠点もあります。止め沓と太鼓の摩擦によって発生する熱がこもりやすく、過熱すると止め力が弱まるフェード現象が起こりやすいため、長時間の継続的な使用には注意が必要です。そのため、主に停止状態を保つ止めや非常時の止めとして使われます。また、構造上、自動的に止め具合を調整する自動調整機構を取り付けるのが難しいという点も、内側に広がる式と比較した際のデメリットと言えるでしょう。