風切り音

記事数:(4)

エアロパーツ

風の流れを制御する:ウインドデフレクターの役割

車体各所に設置される、風の流れを変える板は、整流板と呼ばれ、空気の流れ、すなわち風の流れを意図的に変える役割を担っています。整流板は、その設置場所や形状によって様々な目的を果たし、車の性能や快適性に大きく影響します。 例えば、エンジンルームに取り付けられた整流板は、エンジンや変速機、ブレーキといった高温になる部品に効率的に風を当てて冷却する役割を担います。これらの部品は、高温になりすぎると性能が低下したり、最悪の場合は故障につながる可能性があります。整流板によって風の流れを適切に制御することで、部品の温度上昇を抑え、安定した性能を維持することができます。また、車室内の空調システムにおいても、整流板は重要な役割を果たします。外気を効率的に取り込むことで、車内の換気をスムーズに行い、快適な温度環境を維持するのに役立ちます。さらに、整流板は走行安定性にも貢献します。車体下面や側面に取り付けられた整流板は、車体周りの風の流れを整えることで、揚力を抑えたり、横風によるふらつきを軽減する効果があります。 しかし、風の流れを変えるということは、空気抵抗にも影響を与えます。整流板を設置すると、空気の流れが乱れるため、空気抵抗係数が増加する傾向にあります。空気抵抗係数とは、物体が空気中を移動する際に受ける抵抗の大きさを示す数値で、この数値が大きいほど空気抵抗が大きくなります。空気抵抗が大きくなると、車を動かすためにより多くの力が必要となり、燃費の悪化につながる可能性があります。そのため、整流板の設計には、風の流れを効率的に制御しながら、空気抵抗を最小限に抑える工夫が凝らされています。最適な形状や配置を追求することで、性能向上と燃費効率の両立を目指しています。
機能

静かな車内への道:吸出し音対策

高速道路を時速100キロメートルで走行していると、「ヒュー」という高い音が車内から聞こえてくることがあります。まるで口笛のようなこの音は、一体何が原因で発生しているのでしょうか。実は、この音は「ドアガラス吸出し音」と呼ばれ、走行中の空気の流れが大きく関係しています。 車は高速で走ると、車体の周囲の空気を大きくかき乱しながら進みます。空気は車体の形に沿って流れようとしますが、複雑な形状のため、場所によって空気の速度や圧力が異なってきます。特にドアガラス付近では、車体の外側を流れる空気の速度が速くなり、圧力が低くなる現象が起こります。すると、車内側の空気の圧力の方が高くなるため、ドアガラスは外側にわずかに吸い出されるのです。 この吸い出しは、わずか数ミリメートルとごくわずかですが、このわずかな隙間が音を発生させる原因となります。ドアガラスと車体の間の密閉性が下がることで、車内外の空気が行き来し、その際に「ヒュー」という音が発生するのです。 この現象は、飛行機の翼が揚力を得る仕組みと似ています。飛行機の翼は、上面の空気が下面の空気よりも速く流れるように設計されています。すると、翼の上面の圧力が下面よりも低くなり、翼を押し上げる力が生まれます。これが揚力です。また、ヨットが帆に風を受けて進むのも、帆の両側の空気の圧力差を利用しているため、同じ原理といえます。空気の流れが生み出す力の大きさを改めて感じさせられます。
車の構造

風漏れ音:快適な車内空間の妨げ

車が走ると、車体の周りを空気が流れます。この空気の流れによって、車内と車外の間に圧力の差が生まれます。この圧力差によって、車内に外の空気が入り込んだり、車内の空気が外に漏れ出たりします。この空気の出入りする際に発生する音が、風漏れ音です。多くの場合、空気は車内から車外へと流れ出すため、「吸出し音」とも呼ばれています。 風漏れ音は、まるで口笛のような「ヒュー」という高い音や、「ゴー」という低い音で聞こえることが多いです。発生する音の種類や大きさは、車の速度や風向き、隙間の大きさなどによって変化します。例えば、高速道路を走る時など、速度が速いほど風切り音が大きくなり、それに伴って風漏れ音も大きくなる傾向があります。また、向かい風の場合も風漏れ音が大きくなりやすいです。 風漏れ音の発生源となる隙間は、ドアと車体の間、窓枠のゴムパッキン、サンルーフの周りなど様々です。その他にも、車体の構造上の隙間や、経年劣化によるゴムパッキンの硬化やひび割れなども原因となります。これらの隙間から空気が漏れることで、不快な騒音が車内に響き渡り、快適な運転を邪魔する可能性があります。 風漏れ音は、単なる騒音問題に留まりません。車内の空調効率を低下させ、燃費の悪化に繋がる可能性があります。冬は暖かい空気が車外に逃げ、夏は冷たい空気が車外に逃げるため、より多くのエネルギーを消費して車内温度を維持しなければならなくなります。また、大きな風漏れ音は運転中の集中力を削ぐ原因にもなり、安全運転の妨げとなる可能性もあります。そのため、風漏れ音は早めに対処することが大切です。
機能

静かな車内空間を実現するために:風切り音対策

車は、時速が高くなるにつれて、周りの空気の流れを大きく乱すようになります。この乱れた空気の流れが、車体にぶつかったり、隙間に入り込んだりすることで様々な音が発生します。これが風切り音です。風切り音は、風の音、とよく言われますが、空気の流れが原因で起こる音全般を指し、場合によってはヒューヒューという笛のような音や、ボコボコという低い音など、様々な音に聞こえます。 風切り音は、車の速度が上がるほど大きくなります。街中をゆっくり走る際にはあまり気にならないかもしれませんが、高速道路など速度の高い道路を走る際には、車内に入り込む音の中で最も大きな音となる場合が多く、快適な運転の妨げとなります。静かで心地よい車内空間を作るためには、この風切り音をいかに小さくするかが、車を作る上での大きな課題となっています。 風切り音は、車の形や、ドアミラーの形、窓ガラスの周りのゴムの形状など、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。例えば、車の形が角ばっていると、空気がぶつかる部分が多くなり、風切り音が大きくなる傾向があります。また、ドアミラーも空気抵抗の大きな部品であり、その形状によって風切り音の大きさが変わります。窓ガラスの周りのゴムの素材や形状も、風切り音の発生に影響を与えます。少しでも隙間があると、そこから空気が入り込み、音が発生しやすくなります。 最近では、コンピューターを使ったシミュレーション技術を用いて、空気の流れを予測し、風切り音を小さくする設計を行うのが主流となっています。また、風洞と呼ばれる実験施設で、実際に車に風を当て、風切り音の発生状況を詳しく調べることで、更なる静音化を目指した工夫が凝らされています。