駆動方式

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リヤアウトプットシャフト:後輪駆動の要

車は、原動機で作り出された力を車輪に伝えることで走ります。この力の伝わる道筋で重要な役割を担う部品の一つに、後ろ車輪出力軸があります。特に後ろ車輪で駆動する車、もしくは四つの車輪全てで駆動する車において、この軸は原動機の力を後ろ車輪に伝えるための大切な繋ぎ部分です。名前の通り「出力軸」であるこの部品は、変速機、または力の分配装置と呼ばれる装置から後ろ車輪に向かって伸びており、推進軸と繋がることで、後ろ車輪を動かすための回転する力を伝えます。この回転する力は最後に差動歯車、そして駆動軸を介して車輪に伝わり、車を前へ進ませます。 後ろ車輪出力軸はただの棒状の部品ではありません。高速回転に耐えられる強さと、滑らかな力の伝達を実現するための精密な加工が施されています。その材料には高強度な鋼材が用いられ、耐久性と信頼性を確保しています。また、表面には特殊な処理が施され、摩擦や摩耗を最小限に抑える工夫が凝らされています。例えば、表面を硬くする処理や、潤滑油をよく馴染ませる処理などが挙げられます。これらの処理によって、摩擦によるエネルギーの損失や部品の劣化を抑え、より効率的で長持ちする部品を実現しています。 さらに、後ろ車輪出力軸は、回転する力だけでなく、車にかかる様々な力にも耐えなければなりません。例えば、車が発進・停止する際の衝撃や、路面の凹凸による振動などです。これらの力に耐えるために、後ろ車輪出力軸は、断面形状や材質、熱処理方法などを緻密に設計・製造されています。 このように、後ろ車輪出力軸は、過酷な条件下でも安定した性能を発揮し、車の走行を支える、縁の下の力持ちと言える重要な部品なのです。
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電気自動車の原動力:車載モーター

車に搭載される電動機、いわゆる車載電動機は、電気自動車の心臓部と言える重要な部品です。電気自動車の走る力を生み出す動力源であり、ガソリン車のエンジンに相当する役割を担っています。タイヤの回転軸に直接電動機を組み込む方式もありますが、現在主流となっているのは、この車載電動機方式です。 車載電動機方式では、電動機を車体に固定し、そこから伸びる歯車や軸などを介してタイヤを回転させます。タイヤの中に電動機を組み込む方式と比べると、いくつかの利点があります。まず、電動機の冷却が容易になります。電動機は作動中に発熱するため、冷却が不可欠ですが、車体に固定されていることで、冷却装置の設置や空気の流れを利用した冷却が容易になります。また、整備のしやすさも大きなメリットです。タイヤ内部に設置された電動機は整備が難しく、故障時の交換も大掛かりな作業になりますが、車載電動機であれば容易に点検や修理ができます。さらに、製造コストの面でも有利です。 車載電動機方式は、車両設計の自由度を高めることにも貢献します。電動機の搭載位置を比較的自由に選べるため、車両の前後重量配分を最適化し、走行安定性を向上させることができます。また、タイヤへの直接的な負担を減らすことができるため、乗り心地の向上にも繋がります。路面からの衝撃を電動機が直接受けることが少なくなるため、サスペンションへの負担が軽減され、より滑らかな乗り心地を実現できます。これらの利点から、現在市販されている多くの電気自動車で車載電動機方式が採用されています。今後、電気自動車の普及が進むにつれて、車載電動機の技術もさらに進化していくことでしょう。