駆動輪トルク:車の走りを支える力
車を動かす力は、最終的にタイヤを回転させる力に変換されます。このタイヤを回す力を駆動輪トルクと言います。読んで字のごとく、車を走らせる駆動輪にかかる回転させる力のことです。エンジンで発生した力は、幾つもの部品を経てタイヤに伝わり、車を動かします。具体的には、エンジンが生み出した力が、変速機や推進軸といった伝達機構を経由し、最終的にタイヤを回転させる力に変換されます。これが駆動輪トルクです。
この駆動輪トルクが大きければ大きいほど、車は力強く加速し、急な坂道も楽々と登ることができます。反対に、駆動輪トルクが小さければ、加速は鈍く、坂道を登るのも一苦労です。発進時や坂道発進時など、大きな力が必要な場面では、駆動輪トルクの大きさが特に重要になります。そのため、車の性能を評価する上で、駆動輪トルクは重要な要素の一つと言えるでしょう。
しかし、ただ駆動輪トルクが大きいだけでは、必ずしも良いとは限りません。タイヤが路面を捉える力、すなわちグリップ力よりも駆動輪トルクが大きすぎると、タイヤは空転してしまい、路面に力を伝えられなくなります。まるで氷の上でタイヤが空回りするように、前に進まなくなってしまいます。
そこで重要になるのが、空転を防ぎ、路面に効率的に力を伝える制御技術です。近年の車は電子制御技術の進化により、様々な路面状況に合わせて駆動輪トルクを最適に制御しています。乾いた路面、濡れた路面、雪道など、路面の状況に応じて駆動輪トルクを調整することで、安定した走行を実現しています。これにより、ドライバーは安心して運転を楽しむことができます。