車の駆動力を支える入力トルク
車を走らせる力は、エンジンの回転運動から生まれます。この回転運動の強さを表すのが回転力、つまりトルクです。車は、このトルクをタイヤに伝えることで前に進みます。トルクは、エンジンから出てすぐにタイヤに伝わるわけではありません。いくつかの装置を介して段階的に伝えられるのです。まずエンジンから変速機へ、次に変速機からデフへと、まるでバトンのようにトルクは渡されていきます。この時、各装置へ最初に伝わるトルクのことを入力トルクと言います。
入力トルクは、車の動きを理解する上で欠かせない要素です。例えば、エンジンが作り出したトルクが変速機への入力トルクとなり、変速機はこの入力トルクを状況に応じて変化させます。平坦な道を走る時と急な坂道を登る時では、必要なトルクの大きさが違います。変速機は、歯車の組み合わせを変えることでトルクを増減させ、その時々に合った適切なトルクをデフへと伝えます。この時、変速機からデフへ伝えられるトルクが、デフへの入力トルクとなります。
このように、各装置は前の装置から受け取ったトルクを、次の装置へと送り出していきます。エンジンが生み出したトルクは、変速機への入力トルクと全く同じ大きさです。そして、変速機が調整したトルクは、デフへの入力トルクとなります。つまり、ある装置の出力トルクは、次の装置の入力トルクと等しい関係にあるのです。最終的に、デフはタイヤを回転させるための力へとトルクを変換し、車はスムーズに走ることができるのです。ですから、入力トルクを知ることで、車がどのように動いているのかをより深く理解することができます。