駐車ブレーキ

記事数:(10)

機能

駐車ブレーキ:安全停止の仕組み

駐車ブレーキは、自動車を安全に止めておくための大切な装置です。その名前の通り、車を停めておく時に使うものですが、それ以外にも、運転席から離れる時や坂道で車を停める時にも、安全のために必ず使わなければなりません。 駐車ブレーキの仕組みは、車種によって様々です。ワイヤー式と呼ばれるものは、レバーを引くことでワイヤーを引っ張り、ブレーキをかける仕組みになっています。一方、電動式は、スイッチを押すだけでモーターが作動し、ブレーキがかかります。最近の車では、電動式の駐車ブレーキが増えてきています。 駐車ブレーキの最も重要な役割は、車を確実に停止状態に保つことです。平坦な場所に車を停める際はもちろんのこと、坂道に車を停める際には、車が動き出さないようにしっかりと駐車ブレーキをかけなければなりません。万が一、車が動き出してしまった場合、事故につながる危険性があります。 また、運転席を離れる際には、必ず駐車ブレーキをかける習慣をつけましょう。ちょっとした用事で車を降りる場合でも、駐車ブレーキをかけておけば、不意の動き出しを防ぎ、思わぬ事故を未然に防ぐことができます。 さらに、走行中にブレーキの調子が悪くなった場合、駐車ブレーキは緊急時のブレーキとしても機能します。もちろん、いきなり強くかけると危険ですので、状況を判断しながら慎重に操作する必要があります。しかし、このような非常時に、車を止める手段を持っていることは、大きな安心感につながります。 このように、駐車ブレーキは、安全な運転に欠かせない重要な装置です。その役割を正しく理解し、適切に使うことで、安全で快適な運転を心がけましょう。
安全

緊急時の頼みの綱!非常ブレーキの役割

車は、安全に移動するために様々な仕組みが備わっています。その中でも、いざという時に車を止める非常ブレーキは、安全を守る上で欠かせない大切な仕組みです。日本の工業規格では、ブレーキの働きを補助ブレーキ、非常ブレーキ、駐車ブレーキの三種類に分類しています。非常ブレーキは、緊急ブレーキとも呼ばれ、普段使っているブレーキが何らかの原因で壊れた時に、車をゆっくり走らせたり止めたりするために使います。 例えば、ブレーキを踏むための油が漏れてしまったり、ブレーキの部品が壊れてしまったりした場合、通常のブレーキは効かなくなってしまいます。このような思わぬ出来事によってブレーキが効かなくなったとしても、非常ブレーキがあれば、車を安全に止めることができます。非常ブレーキは、普段使っているブレーキとは別の仕組みで動いているため、一方のブレーキが壊れても、もう片方は使えるようになっています。 非常ブレーキの仕組みは、車の種類によって異なります。ワイヤーを使ってブレーキを直接かけるものや、油圧を使って力を伝えるもの、電気を使ってモーターを動かすものなど、様々な種類があります。どの方式であっても、非常ブレーキは、通常のブレーキよりも制動力が弱く、完全に止まるまでに時間がかかります。また、ブレーキの効き方も左右で均等ではない場合もあります。 そのため、非常ブレーキを使う時は、より慎重な運転操作が必要です。急なハンドル操作や急ブレーキは避け、周りの車や歩行者に注意しながら、ゆっくりと速度を落としていくことが大切です。非常ブレーキは、あくまでも緊急時のための備えです。日頃から車の点検整備を行い、ブレーキの故障を未然に防ぐことが最も重要です。そして、万が一、ブレーキに異常を感じた場合は、すぐに車を安全な場所に止め、専門の修理工場に点検を依頼しましょう。
機能

後輪ブレーキの進化:ドラムインディスク

輪を止める仕組みに、普段使いと駐車時用の二つの仕組みを組み合わせたものが、ドラムインディスクブレーキです。これは主に後ろの輪で使われています。外から見ると普通の円盤ブレーキと変わりませんが、中には駐車ブレーキ専用の太鼓ブレーキが隠されています。普段走っている時は、円盤ブレーキが働きます。ブレーキペダルを踏むと、油の力を使ってブレーキパッドと呼ばれる部品を回転する円盤に押し付け、摩擦によって輪の回転を遅くし、車を止めます。この方式はよく効き、コントロールもしやすいのが特徴です。一方、車を停めておく時には、円盤ブレーキの中に組み込まれた太鼓ブレーキが活躍します。サイドブレーキを引くと、針金を通じてブレーキの靴と呼ばれる部品が、円盤の内側に広がり、押し付けられます。これにより、輪がロックされ、車が動き出すのを防ぎます。この太鼓ブレーキは、構造が単純で、確実に車を固定できるため、駐車ブレーキに適しています。このように、ドラムインディスクブレーキは二つのブレーキを組み合わせることで、普段使いと駐車時の両方に対応できる優れた仕組みとなっています。円盤ブレーキの高い制動力と、太鼓ブレーキの確実な固定力を一つにまとめた、効率的な設計と言えるでしょう。見た目には一つのブレーキに見えますが、中には二つの異なる仕組みが隠されており、それぞれが役割を分担することで、安全な走行と駐車を支えています。特に、後輪に採用されることが多いのは、前輪に比べて制動力が小さくて済むため、小型軽量にできるドラムインディスクブレーキのメリットが生かせるからです。
安全

クルマの停止可能勾配:安全な駐車のために

車を安全に止めておくことは、とても大切なことです。特に、坂道に車を停めるときには、車がずり落ちていかないかどうかをしっかりと確認しなければいけません。そこで重要となるのが、『停止可能勾配』という考え方です。 停止可能勾配とは、車を坂道に停めた時に、ブレーキをかけていれば安全に停車できる坂の最大の傾斜のことです。この傾斜は、百分率(パーセント)で表されます。例えば、停止可能勾配が10%の車の場合、水平方向に100メートル進むごとに、垂直方向に10メートル高くなる坂道までなら、ブレーキをかけて停車できることを意味します。つまり、この数値が大きいほど、急な坂道でも安全に停車できる車ということになります。 この停止可能勾配は、いくつかの要素によって決まります。まず重要なのは、ブレーキの性能です。ブレーキがしっかりと効く車ほど、急な坂道でも停車できます。次に、タイヤと路面の間の摩擦の大きさも大切です。摩擦が大きいほど、タイヤが滑りにくくなり、車を安全に停車させることができます。雨の日や凍結した路面では、摩擦が小さくなるため、停止可能勾配も小さくなります。ですから、そのような状況では、より一層注意深く運転する必要があります。 停止可能勾配は、車の種類によって異なります。一般的に、重い車ほど停止可能勾配が大きく、軽い車ほど小さくなります。また、タイヤの種類やブレーキの状態によっても変化します。そのため、自分の車の停止可能勾配を知ることは、安全運転のために非常に重要です。車の説明書やメーカーのウェブサイトなどで確認することができます。急な坂道に車を停める際には、必ず駐車ブレーキをかけ、タイヤ止めを使用するなどの対策をしっかりと行い、安全を確保するように心がけましょう。
機能

デュオサーボブレーキの仕組みと特徴

{車を安全に止めるために欠かせないブレーキ。その歴史の中で、かつて主流だったドラムブレーキの種類の一つにデュオサーボブレーキというものがあります。このブレーキは、自己倍力作用と呼ばれる独特の仕組みを持っていて、少ない踏力で大きな制動力を生み出すことができました。 デュオサーボブレーキは、二組のブレーキシューがドラムの内側に配置されているのが特徴です。ブレーキペダルを踏むと、まずプライマリーシューと呼ばれる片方のシューがドラムに押し付けられます。すると、回転するドラムの摩擦によってプライマリーシューは回転方向に引っ張られます。この引っ張る力が、セカンダリーシューと呼ばれるもう片方のシューをドラムに強く押し付ける力を増幅させるのです。これが自己倍力作用です。この作用のおかげで、ドライバーは軽い踏力で強力な制動力を得ることができました。 しかし、デュオサーボブレーキには弱点もありました。前後左右のブレーキのバランス調整が難しいことや、ブレーキの効き方に癖があることなどです。特に、後退時にブレーキの効きが弱くなる自己サーボ効果の低下は、駐車時などに注意が必要でした。また、構造が複雑で部品点数が多いため、整備に手間がかかることも欠点の一つでした。 これらの欠点のために、現在ではディスクブレーキの普及に伴い、デュオサーボブレーキは主流ではなくなりました。ディスクブレーキは、構造が簡単で整備性が良く、安定した制動力を得やすいという利点があります。しかし、デュオサーボブレーキはドラムブレーキの中でも高い制動力を発揮できるという特徴を持っていたため、かつては多くの車に採用されていました。その歴史を理解することは、自動車技術の発展を学ぶ上で重要なことと言えるでしょう。
機能

大型トラックのブレーキ:ウエッジ式エアブレーキ

車は安全に止まるために、ブレーキという装置を使います。その中でも、空気の力を使うブレーキを空気式ブレーキといいます。空気式ブレーキは、主に大型車やバス、トラックなどに使われています。空気式ブレーキの一つに、楔式空気ブレーキがあります。このブレーキは、空気の力を利用して、楔の働きでブレーキをかける仕組みです。 まず、運転席でブレーキペダルを踏むと、空気圧縮機で作られた空気がブレーキの部品である空気室に送られます。この空気室は、風船のように空気が入ると膨らむ袋です。空気が空気室に送られて膨らむと、その力によってブレーキの一部である制動蹄(せいていつめ)という部品が回転する太鼓の内側に押し付けられます。この制動蹄と太鼓の間で摩擦が起きることで、車の速度を落とす、つまりブレーキがかかるのです。 制動蹄を動かす仕組みは、楔のような形をしています。楔は、小さな力で大きな力を生み出すことができます。この原理を利用することで、小さな空気圧でも大きな制動力を得ることができるのです。 つまり、軽い力でブレーキペダルを踏むだけで、重い車でもしっかりと止まることができるということです。 また、駐車時や緊急時に使う駐車ブレーキや非常ブレーキの場合には、空気の力ではなく、圧縮ばねの力を使います。ばねは、押すと縮み、力を抜くと元に戻る性質を持つ部品です。普段は空気がばねを縮めた状態にしていますが、空気がなくなるとばねが元に戻り、その力で制動蹄を太鼓に押し付けます。これは、万が一、空気圧縮機が故障したり、空気が漏れたりして空気の供給が途絶えても、ブレーキが確実に作動するようにという工夫です。 このように、楔式空気ブレーキは、空気圧とばねの二つの仕組みを備え、安全性を高めているのです。
機能

センターブレーキ:仕組みと役割

車を安全に止めるための仕組み、ブレーキ。その中でも「中心的なブレーキ」と呼ばれる種類があります。これは、車の動力伝達の中心付近、変速機の後部に備え付けられています。もう少し詳しく説明すると、エンジンの動力をタイヤに伝えるための回転軸であるプロペラシャフトと、タイヤの回転速度を調整する終減速装置の間に位置しています。 このブレーキの大きな特徴は、駆動輪の手前でブレーキをかける点です。タイヤで直接ブレーキをかけるのではなく、動力の中心に近い部分でブレーキをかけることで、少ない力で大きな制動力を生み出せるのです。これは、てこの原理と似ています。てこを使う時、支点から力を入れる場所までの距離が長いほど、少ない力で重いものを動かせますよね。中心的なブレーキも同じで、終減速装置によって回転速度が変わることで、小さなブレーキでも大きな制動力を得られるのです。終減速装置の歯車の組み合わせで回転速度が変化し、これがトルクを増幅させる効果を生み出します。この増幅されたトルクのおかげで、小さなブレーキでも十分な制動力を確保できるのです。 このような特徴から、中心的なブレーキは、大型車、特にトラックやバスの駐車ブレーキとして広く使われています。大型車は重量が大きいため、駐車中に車が動いてしまうと大変危険です。中心的なブレーキは強力な制動力を発揮できるので、大型車をしっかりと固定し、安全を確保するのに役立っているのです。急な坂道や不整地など、様々な状況で車を確実に止めておくことができます。これは、ドライバーだけでなく、周りの人々の安全を守る上でも非常に重要な役割を果たしています。
機能

外部収縮式ドラムブレーキ:仕組みと利点

外に広がる式の太鼓型止め装置は、主に大きな荷車や乗り合い馬車といった、重量のある乗り物に欠かせない仕組みです。特に、止まっている状態を保つ止めや、いざという時の止めとして活躍します。この装置の中心には、太鼓のように回転する部品があり、その外側に「止め沓」と呼ばれる摩擦を生む材料が取り付けられています。止め板を踏むと、この止め沓が回転する太鼓の外側に押し付けられます。止め沓と太鼓の間で摩擦が生じることで、乗り物の動きをゆっくりと止めます。 この仕組みは、太鼓の内側に止め沓を置く内側に広がる式とは大きく異なります。外に広がる式は、構造が分かりやすく、簡単に作ることができます。また、内側に広がる式よりも大きな止め力を出すことができるため、重い乗り物を止めるのに適しています。 具体的には、止め板を踏む力が増すと、てこの原理で止め沓を太鼓に押し付ける力も強くなります。この力が増すことで、摩擦も大きくなり、より強力な止め効果を発揮します。さらに、外に広がる式は、自己倍力作用と呼ばれる特徴も持ちます。これは、回転する太鼓が止め沓を引っ張ることで、止め力がさらに増幅される現象です。この自己倍力作用により、少ない踏力で大きな止め力を得ることが可能になります。 しかし、外に広がる式は、内側に広がる式に比べて放熱性が劣るという欠点もあります。止め沓と太鼓の摩擦によって発生する熱がこもりやすく、過熱すると止め力が弱まるフェード現象が起こりやすいため、長時間の継続的な使用には注意が必要です。そのため、主に停止状態を保つ止めや非常時の止めとして使われます。また、構造上、自動的に止め具合を調整する自動調整機構を取り付けるのが難しいという点も、内側に広がる式と比較した際のデメリットと言えるでしょう。
機能

ホイールパーク式駐車ブレーキの解説

車は安全に止まっていることが何よりも大切です。そのために無くてはならないのが駐車ブレーキ、中でも大型車や中型車でよく使われているのがホイールパーク式駐車ブレーキです。このブレーキは、タイヤのすぐそば、車輪の中に備え付けられているのが大きな特徴です。車輪に直接ブレーキをかけるので、中心にあるブレーキとは仕組みが全く違います。 では、どのようにしてブレーキをかけるのでしょうか。ホイールパーク式駐車ブレーキは、バネの力を使っています。「ブレーキチャンバー」と呼ばれる部品の中に仕込まれた、ギュッと押し縮められたバネが重要な働きをします。このバネは、くさび形の部品を押し、その力がさらに奥にある、車輪の「シリンダー」という部品の中の「ピストン」という部品を押し出します。ピストンが外側に押し出されると、ブレーキがかかる仕組みになっています。 反対にブレーキを解除するには、ブレーキチャンバーの中に空気を送り込みます。空気が入ると、押し縮められていたバネが元の状態に戻り、ピストンも元の位置へ戻ってブレーキが解除されます。まるで空気の力でバネを操っているかのようです。 ところで、普段私たちが乗用車で使っている駐車ブレーキは、かける強さを調整できますよね。しかし、このホイールパーク式駐車ブレーキはブレーキのかかる強さを段階的に調整することができません。かけるか、解除するかのどちらかしか選べないのです。このブレーキは「スプリングブレーキ」とも呼ばれています。バネ、つまりスプリングの力を利用していることが名前の由来です。しっかり止まってくれるホイールパーク式駐車ブレーキは、大型車や中型車の安全を守る上で重要な役割を果たしています。
安全

安全を守るブレーキロック:その仕組みと重要性

ブレーキロックとは、荷の積み下ろし作業中などに停車状態を保つ必要がある特殊な車両において、より安全な作業環境を確保するために用いられる装置です。ミキサー車や塵芥車など、荷台を傾斜させて積み荷を排出する車両は、作業中に不意に車両が動いてしまうと重大な事故につながる恐れがあります。通常の駐車ブレーキだけでは、このような車両を確実に固定するには不十分な場合があります。 ブレーキロックは、駐車ブレーキに加えてさらなる制動力を加えることで、車両の動きを確実に防ぎます。その仕組みは、油圧系統や空気圧系統を利用して、ブレーキ系統の一部をロックする、つまり固定する、というものです。これにより、勾配のある場所や悪路であっても、車両が滑り出すリスクを大幅に低減できます。 ブレーキロックの操作は、通常、運転席から行います。作業開始前に運転席にあるブレーキロック専用のスイッチやレバーを操作することで、ブレーキロックを作動させます。この操作は、駐車ブレーキをかけた後に行うことが重要です。ブレーキロックを作動させると、インジケーターランプなどが点灯し、作動状態であることを運転者に知らせます。作業終了後には、ブレーキロックを解除してから、通常のブレーキ操作で車両を発進させます。 このように、ブレーキロックは、特殊な車両において、作業中の安全を確保するための重要な装置です。駐車ブレーキと併用することで、より確実な固定を実現し、作業者と周囲の人々の安全を守ります。特に、荷台を持ち上げるタイプの車両では、この装置が不可欠と言えるでしょう。