1ピース

記事数:(1)

車の構造

鍛造ホイール:高性能の証

車輪を作る方法の一つに、鍛造という方法があります。鍛造車輪は、金属の塊に非常に強い力で圧力をかけて形を作る製法です。この方法は、鋳造と呼ばれる、溶かした金属を型に流し込んで作る方法とは大きく異なります。 鍛造では、アルミニウム合金のような軽い金属の塊を用意し、巨大なプレス機で圧縮します。この時かける圧力は、鋳造で使う力の比ではありません。一般的な鋳造では数百トン程度の力を使うのに対し、鍛造では5千トン級という途方もない力をかけます。想像を絶する圧力によって、金属内部の小さな隙間が押しつぶされ、ぎゅっと詰まった状態になります。これにより、密度が高く、非常に丈夫な車輪が出来上がります。 鍛造の工程で金属に強い力を加えることで、金属内部の構造が細かく整えられ、結晶と呼ばれる粒も小さくなります。金属組織が緻密になり結晶粒が微細化することで、材料の強さが格段に向上するのです。同じ金属材料を使っても、鍛造車輪は鋳造車輪よりも薄く、軽く、そして強い車輪を作ることが出来ます。 軽くて強い車輪は、車の燃費向上や運動性能の向上に役立ちます。鍛造車輪は製造に手間と費用がかかりますが、高い性能を持つため、スポーツカーや高級車などによく使われています。近年では、製造技術の進歩により、様々な車種で鍛造車輪の選択肢が増えてきています。