1/4楕円ばね

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駆動系

乗り心地の工夫:1/4楕円ばね

四分の一楕円板ばねは、その名の通り、楕円の形をした板ばねを四つに切り分けたうちの一つを用いたばねです。元となる楕円板ばねは、中央部分が厚く、両端に向かって徐々に薄くなるように作られています。この楕円板ばねをまず半分に切ると半楕円板ばねになります。これをさらに半分に切ったものが四分の一楕円板ばねで、切断した方の端を車体などに固定して使用します。 この独特な形状が、四分の一楕円板ばね特有の性質を生み出しています。中央部分が厚いことで、大きな荷重にも耐えられるだけの強度を保ちます。一方、両端部分が薄いことで、しなやかな動きを実現します。つまり、四分の一楕円板ばねは強度と柔軟性を両立させていると言えるでしょう。 四分の一楕円板ばねは、かつて自動車のサスペンション(懸架装置)によく使われていました。特に、小型車や軽自動車の後輪部分で多く採用されていました。これは、限られたスペースにも設置しやすいという利点があったからです。また、製造コストが比較的安く、シンプルな構造のため、保守点検も容易というメリットもありました。 しかし、近年では他の形式のサスペンションに取って代わられつつあります。これは、四分の一楕円板ばねでは乗り心地や操縦安定性の面で、より高度な要求に応えることが難しくなってきたためです。とはいえ、そのシンプルな構造と耐久性の高さから、現在でも一部の車種で使用されています。また、自動車以外にも、鉄道車両や農耕機など、様々な分野でその特性を活かして利用されています。
車の構造

片持ちばね:車輪を支える縁の下の力持ち

片持ちばねとは、一端が固定され、もう一端だけで荷重を支える構造を持つばねのことを指します。その名の通り、まるで断崖から突き出た梁のように、一方がしっかりと固定されているため、片持ちばねと呼ばれています。この独特の構造が、自動車の乗り心地を大きく左右するサスペンションにおいて重要な役割を担っています。 自動車が道路の段差を乗り越える場面を想像してみてください。車輪は段差によって大きく上下に動きますが、片持ちばねの固定端は動きません。しかし、荷重を支えるもう一端は車輪の動きに連動して上下に振動します。この時、ばね自身がしなり、変形することで段差からの衝撃を吸収し、車体への振動を和らげる働きをします。これは、体操選手が跳馬から飛び降りる際に、膝を曲げることで着地の衝撃を和らげる動作と似ています。片持ちばねは、このようにして乗客が快適に過ごせるよう、路面からの振動を吸収するクッションの役割を果たしているのです。 この片持ちばねは、古くは昭和40年代に登場した2代目コロナという車の後輪サスペンションに採用され、その特殊な構造が当時話題となりました。現在では、様々な車種でこの片持ちばねが採用されており、車体の軽量化や設計の自由度向上に役立っています。例えば、後輪サスペンションに片持ちばねを採用することで、車体後部の床下スペースを広く取ることが可能になります。これは、荷室の拡大や燃料タンクの配置変更など、車内空間の有効活用に繋がります。また、ばね下重量の軽減にも貢献し、より軽快で安定した走行性能を実現する上で重要な役割を担っています。