13モード

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環境対策

13モード排出ガス試験の概要

13モード排出ガス試験は、大型の自動車などから出る排気ガスによる大気汚染を防ぐために行われています。この試験は、工場や研究所などの屋内で、特別な装置を使って行われます。装置の上には大きなローラーがあり、その上で試験車両を走らせます。試験中は、決められた速度変化や停止、発進といった13種類の走行パターンを再現し、その時に排出される排気ガスを採取して成分を分析します。 この試験では、主に三つの有害物質の量を測ります。一つ目は、一酸化炭素です。これは、物が燃え切らなかった時に発生する無色無臭の気体で、人体に吸い込まれると酸素を運ぶ血液の働きを阻害し、中毒を起こす危険があります。二つ目は、炭化水素です。これは、ガソリンや軽油などに含まれる物質で、大気中で光化学スモッグの原因となります。光化学スモッグは、目や喉を刺激し、健康に悪影響を与えることがあります。三つ目は、窒素酸化物です。これは、窒素と酸素が高温で反応してできる物質で、酸性雨や呼吸器疾患の原因となります。 大型の自動車は、一般的な乗用車に比べて車体が大きく、エンジンの出力も高いため、排出する排気ガスの量も多くなります。そのため、環境への影響も大きいため、大型の自動車を対象とした排気ガス規制は、環境を守る上で重要な対策となっています。13モード試験は、そうした規制の基礎となる試験方法であり、大気を汚染から守り、人々の健康と安全、そして地球環境を守る上で、なくてはならない役割を担っています。近年では、より実走行に近い状態での排出ガス量を測定する試験方法も導入されていますが、長年にわたり蓄積されたデータとの比較が容易であることなどから、13モード試験は現在も重要な役割を果たしています。
環境対策

6モード排出ガス試験のすべて

昭和四十八年、自動車の排気ガスによる大気汚染が社会問題となっていました。経済が急速に発展する中で、自動車の数が急激に増え、それに伴って排気ガスによる空気が汚れることも深刻になってきていました。人々の健康への影響も心配されていました。そこで、きれいな環境を守ろうという機運が高まり、国は自動車を作る会社に対し、排気ガスをきれいにする技術を開発し、車に取り付けることを義務付ける法律を作りました。これが、日本で初めての排気ガス規制の始まりです。 この時に、排気ガスに含まれる有害な物質の量を測る方法として採用されたのが、「六つの状態」と呼ばれる試験方法です。これは、六つの異なる運転状態、例えば、止まっている状態、ゆっくり走る状態、速く走る状態など、を設定し、それぞれの状態で排気ガスに含まれる有害物質の量を測るというものです。この六つの状態での測定結果を総合的に評価することで、自動車から排出される有害物質の量をより正確に把握することができるようになりました。 この「六つの状態」試験は、その後の排気ガス規制の進化に大きな影響を与えました。より厳しい規制へと段階的に引き上げられていく中で、自動車を作る会社は、より高度な排気ガス浄化技術を開発することを迫られました。例えば、排気ガスに含まれる有害物質を触媒という装置を使って無害な物質に変える技術や、エンジンの燃焼効率を上げて有害物質の排出量を減らす技術などが開発され、自動車に取り付けられるようになりました。 昭和四十八年に導入された排気ガス規制と「六つの状態」試験は、日本の自動車の歴史における重要な出来事です。これは、自動車の環境性能向上への第一歩であり、その後の技術革新の基礎を築きました。現在も、自動車の環境性能は進化し続けており、電気自動車や燃料電池自動車など、排気ガスを全く出さない車も登場しています。これらの技術の進歩は、昭和四十八年に始まった排気ガス規制の歴史の上に成り立っていると言えるでしょう。