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エンジン

負圧を動力に!バキュームアクチュエーターの仕組み

車の心臓部とも言える機関室の中には、まるで生き物のように複雑に絡み合った様々な部品が働いています。その中で、普段は目に触れることもなく、名前を聞く機会も少ない「負圧作動装置」についてお話します。聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は車の様々な場所で重要な役割を担う、縁の下の力持ち的存在です。負圧作動装置は、エンジンの吸い込む力、つまり負圧を利用して特定の装置を動かす仕組みです。 少し専門的な話になりますが、ガソリンエンジンは混合気を燃焼させてピストンを動かし、車を走らせる力を生み出します。この時、ピストンが空気を吸い込む際に負圧が発生します。この負圧こそが、負圧作動装置を動かすための動力源なのです。負圧作動装置は、この負圧を利用することで、電気仕掛けの装置のように複雑な配線や電力を使うことなく、様々な部品を制御できます。これは、車の燃費向上にも貢献しています。 代表的な例としては、排気ガスをきれいにするための排気再循環装置や、ターボの過給圧を調整する装置などが挙げられます。その他にも、エアコンの温度調整や、昔ながらのブレーキの倍力装置などにも利用されていました。近年は電動化が進み、負圧を利用する場面は減ってきていますが、現在でも多くの車種で活躍しています。 負圧作動装置は、ゴムや樹脂でできた薄い膜(ダイヤフラム)で仕切られた容器でできています。エンジンの負圧をダイヤフラムの片側に作用させ、もう片側には大気圧やバネの力などを作用させます。負圧と大気圧の差によってダイヤフラムが動き、連結されたロッドやレバーなどを介して、目的の装置を制御する仕組みです。シンプルながらも効果的な仕組みで、様々な制御を可能にしています。一見地味な部品ですが、車の快適性や環境性能に大きく貢献しているのです。