ブレーキの効き心地:感覚を科学する
止まる、ただそれだけではないのがブレーキの効き心地です。速さを上げていく時と同様に、速さを落とす時も運転する人にとって大切な時間です。アクセルを踏んで速さを出す、ブレーキを踏んで速さを落とす。この繰り返しの中で、人は車と対話をしているのです。ブレーキを踏んだ時の足の裏の感触、これが効き心地です。効き心地には、どれだけの力で踏んだか、どのくらい速さが落ちるか、ペダルがどれくらい沈むか、など様々なことが関係しています。
同じ力でブレーキを踏んでも、車の種類が違えば効き具合も違いますし、同じ車でも状態によって効き具合が変わることがあります。例えば、ブレーキ部品がすり減っていたり、ブレーキの油が古くなっていたりすると、効き具合が変わってしまうのです。この効き具合は人によって感じ方が違います。この感覚的な部分を数値で表し、より良いブレーキの制御を実現することが、車を作る上での大きな課題となっています。
ブレーキの効き心地が良いと、運転する人は安心して運転できます。急に止まる必要があっても、慌てることなくスムーズに止まれます。逆に、効き心地が悪いと、ブレーキを踏むタイミングが難しくなったり、思ったように止まれないことがあります。そのため、車を作る人は、様々な路面状況や天候、そして様々な運転する人の癖を考えながら、誰もが安心して運転できるブレーキの効き心地を目指して開発に取り組んでいます。ブレーキの効き心地は、ただ止まるだけでなく、安全で快適な運転に欠かせない要素なのです。